多言語サイトの設計において、言語選択メニューは重要な要素です。
ウェブサイトの中には、言語選択メニューに国旗アイコンを使用している例がありますが、言語選択メニューに国旗のアイコンを使うことは避けるべきです。
この記事では、なぜ言語選択メニューに国旗アイコンの使用を避けるべきなのか解説します。
1.国家と言語は別物である
国旗アイコンは、国家を象徴するものであり、言語を示すものではありません。
日本語が主要な言語として利用されているのは日本だけなので、一見問題が無いように感じるかもしれません。
しかし、言語と国家は必ずしも一致するとは限りません。
国旗はあくまで国を表すもの。言語を示すものではありません。
国家と言語の関係は様々
日本では日本語が使用されています。また、日本語が(メインの言語として)使用されているのも日本だけです。
その為、日本語のメニューに日本の国旗を使っても違和感はありません。
しかし、全ての国が日本のように、1つの国家=1つの言語という訳ではありません。
例えば、ニュージーランドでは英語とマオリ語が、カナダでは英語とフランス語が公用語に定められています。
逆に、英語を第一言語とする国はイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、様々な国があります。
複数の国家が同じ言語を使用していたり、複数の言語を使用している国家が世界には沢山あるのです。
そのため、言語選択メニューに国旗アイコンを使用すると、誤解や混乱を招く可能性があります。
多様な国家や文化への配慮
言語を国旗で示さない事は、国や文化に対する配慮という面でも重要です。
もし、「日本語を学んでくれる方が多いから」「漢字のルーツだから」と言って、日本語を示すアイコンが中国の国旗だったらどうでしょうか?
また、「日本語を理解できる方が多いから」とハワイ(アメリカ)の国旗を日本語のアイコンにしていたら?
嫌な思いをする方も多いでしょうし、そうでなくても混乱するでしょう。
なので、人権や多様性の観点から見ても、国家(国旗)と言語は安易に結びつけるべきではありません。
2.ユーザビリティとアクセシビリティ
国旗には様々なデザインがあります。
アイコンとして設置した際に、自分のウェブサイトのデザインと馴染まない可能性があります。
例えば、白と黒のシンプルな配色でウェブサイトを作成しても、国旗を掲載してしまうと、カラフルになってしまいます。
しかし、デザインを重視して、国旗を白黒にする事は出来ません。そんな事をしたら、色が違うだけで同じデザインの国旗同士が区別できなくなってしまいます。
(画像:国旗が好きだ。国旗の話をしよう)
また、電子ペーパー(白黒の画面)で表示した場合や、ダークモードにおけるデザイン、障害者に配慮したアクセシビリティ対応(例えば色を反転させる等)など、ウェブサイトの色が変化する機会は、作り手側・読み手側の双方にあります。
様々な環境でウェブサイトが閲覧される事を考慮すると、様々な色や形が使われている国旗をアイコンにするのは、それらの対応を煩雑にしてしまい、ウェブサイト制作のコストや負担が増す可能性があります。
まとめ
多言語サイトを作成する場合は、言語選択メニューに国旗アイコンを使わないようにしましょう。
国旗アイコンを言語選択メニューに取り込むことは、様々な問題があります。
多言語サイトで言語選択メニューを作る場合は、言語の名前(例:「日本語」や「English」)をそのままテキストで表示すると良いでしょう異。
テキストであれば、どのようなデザインにも容易に対応できるためオススメです。