Palantirには日本法人がある!

ピーター・ティール氏らが起業したデータ分析企業「Palantir(パランティア)」には、日本支社の「Palantir Technologies Japan株式会社」が存在します。

Palantir Technologies Japan株式会社は、Palantir TechnologiesとSOMPOホールディングスの共同で設立されました。

正式名称 Palantir Technologies Japan株式会社
フリガナ パランティアテクノロジーズジャパン
創業 2019年11月18日(事業開始:同年12月1日)
所在地 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目12−18 ジ アイスバーグ 6階
法人番号 5010401148754
代表者 楢﨑浩一
公式サイト Palantir (パランティア)

Palantir Japanは日本の各産業や政府機関におけるデジタルトランスフォーメーションに貢献しています

著名な顧客にSOMPOホールディングスや富士通があります。

AI特需でパランティアの株価が年初来332%上がる

(2024年12月20日)

ビッグデータ解析を手掛けるPalantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)は、データ分析AIアプリケーションの需要が追い風となり、株価が年初来で332%上がったとBloombergが報じました

AIサービスから大きな収益を上げることができたソフトウェア企業はほとんどないが、パランティア・テクノロジーズ社は傑出している。同社のデータ分析AI製品への需要が成長を活性化させ、売上高は前年の17%から2024年には26%拡大するペースにある。

株価は2024年に332%上昇し、時価総額を年初の370億ドルから1700億ドル近くに押し上げた。来週にはナスダック100の仲間入りをする。

ウォール街では今年の株価上昇を受け、この銘柄に慎重な見方もあるが、ウェドブッシュのアナリストは、AIによるさらなる成長への期待から、2025年はさらなる上昇をもたらすと予想している。

ブルームバーグがまとめたデータによると、予想利益に対する株価の倍率は150倍を超えており、パランティアはS&P500の中でベンタスに次いで2番目に割高な銘柄である。ブルームバーグが追跡しているアナリスト22人のうち、パランティアを「買い」と評価しているのは3人だけだ。

出典:What’s Next for Five of 2024’s Most Dramatic Tech Stock Stories

時価総額が約1700億ドル(約26兆7200億円)とはすごいですね。

筆者は以前、Palantirの株を持っていましたが、かなり早い段階で利確してしまいました。めっちゃ悔しいです(´・ω・`)

とはいえ、Bloombergが報じているように、Palantirは明らかに割高なので、また株価が下がって購入できるチャンスがくると信じています。

パランティアの製品

Palantir(パランティア)の製品や関与したプロジェクトを紹介します。

Palantirの製品

Palantirの製品であるソフトウェアプラットフォームを紹介します。

Palantir Gotham

Palantir Gotham(パランティア・ゴッサム)は諜報機関、法執行機関、国土安全保障の顧客など、公共セクター向けの製品(ソフトウェアプラットフォーム)です

公共データを統合、管理、保護、分析します。

Gothamを使えば、大量の「構造化」データ(スプレッドシートなど)と「非構造化」データ(画像や動画など)を1つの集中データベースにインポートし、すべての情報を1つのワークスペースで視覚化して分析する事ができます。

この実現には「ダイナミック・オントロジー」と呼ばれる技術手法を用いています

10年以上にわたり、Gothamは世界中の防衛機関、情報機関、災害救援組織などの​複雑なデータから、数々のインサイト (知見、洞察) を引き出しています。Gothamは膨大な量のニアリアルタイム データを結合、リッチ化して1つの統合ビューで提供します。これによって、複数ユーザーが共により信頼できる意思決定をより迅速に行うことが可能になります。​

出典:Gotham | Palantir

価格は不明ですが、米国のFDA(食品医薬品局)に犯罪集団を検知するためにGothamを、わずか2万8000ドルで提供したことが判明しています

旧名称はPalantir Goverment(パランティア・ガバメント)。

Ghothamの利用者

Palantir Foundry

Palantir Foundry(パランティア・ファウンドリー)は、リスク対策及び業務効率化を目指す民間企業向けのソフトウェアプラットフォームです。

社内外のデータを統合、分析、的確な経営判断と事業成功を導出します

Foundryの利用者

富士通は同社の社会課題解決に向けたグローバルソリューションである「Fujitsu Uvance」にPalantir Foundryを後述するPalantir AIPと組み合わせて提供しています

Foundryには他にも以下の様な顧客がいます。

  • エアバス
  • フィアット・クライスラー
  • サノフィ
  • クレディ・スイス銀行
  • フェラーリのF1チーム

Palantir Apollo

Palantir Apollo(パランティア・アポロ)は、独自のソフトウェア製品のあらゆる環境での継続的な展開、構成管理及び中央ソフトウェア運用管理を可能にするソフトウェアです

Apolloは、開発者、オペレーター、セキュリティ チームの三者が連携してアプリケーションのデプロイとロールバックをスピーディに実行しながら、製品の品質、可用性、セキュリティを確保することを可能にするSaaSソリューションです。

出典:Apollo | Palantir

Palantir AIP

Palantir AIPは、「Artificial Intelligence Platform(人工知能プラットフォーム)」の略で、セキュリティを確保した顧客のプライベートネットワークで、ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)や他のAI(人工知能)を安全に実行できるソフトウェア製品です。

Palantir AIPによって、お客様はPalantirが提供している機械学習(ML)テクノロジーのパワーを、大規模言語モデル(LLM)とともに、既存のPalantirプラットフォーム上で直接活用することができます。

出典:Palantir Artificial Intelligence Platform

例えば、ChatGPTのようなAIチャットボットを使用して、軍のオペレーターがドローン偵察を指示したり、複数の攻撃計画を作成したり、部隊の編成を構築したりといった事が可能です。

ただし、「人工知能プラットフォーム」という名前の通り、あくまでこの製品はAIを安全な環境で実行するためのプラットフォームであり、Palantirが戦争用のAIを開発・販売している訳ではありません。PalantirがYouTubeに公開した動画では、オープンソースのLLMが活用されています。

Palantirは「我が社のプラットフォームは合法的かつ倫理的な方法でAIを軍部に統合します」と語っています

公式サイト:AIP | Palantir

AIPの利用者

富士通は同社の社会課題解決に向けたグローバルソリューションである「Fujitsu Uvance」にPalantir AIPをPalantir Foundryと組み合わせて提供しています

また、ウクライナの地雷除去にも活用されています

Palantir Metropolis

Palantir Metropolis(パランティア・メトロポリス)は、ウォール街の銀行やヘッジファンド向けの定量分析に特化したソフトウェアです。

Palantir FedStart

Palantir FedStartは、連邦政府にソフトウェアを導入することを検討している適格企業やスタートアップ企業向けのSaaS サービスです。

競合製品を提供する企業に米防衛テックのSecond Front(セカンドフロント)などがあります。

公式サイト:Palantir FedStart

特殊事例

以下はPalantirが政府機関などに向けて特別に開発・協力した製品・プロジェクトです。

XKEYSCORE Helper

インターネット上のあらゆるデータを盗聴できるNSAのスパイツール「Xkeyscore(エックスキースコア)」で収集したデータを、Palantirのソフトウェアにカンタンに取り込めるように開発されたソフトウェアが「XKEYSCORE Helper」です。

XKEYSCORE Helperを利用すると、NSAがXkeyscoreで収集したデータを簡単にPalantirの製品にインポートし、調査できます。

Skywise

Palantirがエアバスと共同開発したオープンデータプラットフォームです。

航空機が収集した膨大なデータを、整理・分析する事で、トラブルを予防します。

エアバスはSkywiseを導入し、機材の運用や整備を効率化し、航空機地上滞留(AOG)を大幅に削減しました

Project Maven

Project Maven(プロジェクト・メイヴン)は、アメリカ国防総省が進めている、機械学習で戦場データを分析して標的をロックオンしたり、戦術を提案したりする軍用AIプロジェクトで、Palantirは主要なシステムの設計を担っています

TITAN

TITAN(タクティカル・インテリジェンス・ターゲッティング・アクセス・ノード)は、Palantirが米陸軍向けに開発する地上局のプロトタイプです。

この地上局は、人工知能と機械学習を使って、宇宙、空中、地上のセンサーから得られた標的情報を迅速に処理します。

TITANは、ノースロップ・グラマン、アンドゥリル・インダストリーズ、L3ハリス・テクノロジーズ、シエラネバダ、ストラテジック・テクノロジー、ワールド・ワイド・テクノロジーのシステムおよび技術、ソフトウェアを統合したものだといいます。

パランティアの顧客は誰?日本企業も使ってる?

Palantir(パランティア)の顧客は膨大なデータを持つ政府や大企業です。

TechCrunchによると、CIA、DHS、FBI、NSA、海兵隊、米陸軍、米空軍などと取引があるといいます。

また、ニューヨーク市警、バンク・オブ・アメリカ、IBM、ロッキード・マーティン、ブーズ・アレン・ハミルトンなども顧客として知られています

同社の人工知能ツールの顧客には、CBSブロードキャスティング、ゼネラル・ミルズ社、アラマーク・サービス社が含まれる

著名な顧客

Palantirの著名な顧客には以下のような機関・企業があります。

CIA

2005年から2008年までの3年間はCIAが唯一の顧客でした

CDC

CDC(米国の疾病予防管理センター)に向けて、新型コロナウイルスの感染拡大状況や、医療機関の対処状況の把握をするアプリの提供を行いました。

Palantirは、医療機関から受け取るデータを匿名化した上で、Palantir Foundryと呼ばれるプラットフォームで分析し、使用可能な病床数や人工呼吸器の数の把握に利用されています。

なお、データはAmazon.comのクラウドであるAWSに貯蔵されているといいます。

また、感染拡大の予測モデルの提供など、コロナウィルスのパンデミックに対して、Palantirはビッグデータの活用で対抗しています

ちなみに、Palantirは詳細不明のハードウェア及びソフトウェアの更新費用として、67万5000ドルをCDCから受け取っています

NHS

英国のNHS(国民保健サービス)においてもPalantirのソフトウェアが利用されており、病院のキャパシティや人工呼吸器の利用状況の把握などに役立てられています

ロサンゼルス警察

ロサンゼルス警察は、2011年からOperation LASERと呼ばれるプログラムに取り組み、過去の犯罪を分析して犯罪の発生を予測する予測的取り締まりの展開を試みています

このプログラムには、Palantirのソフトウェアが活用されたとされています。

J.P. Morgan

2010年に契約した民間初の顧客です。

Palantirのソフトウェアを使い、サイバー犯罪や住宅ローンなどの問題を通じて、数億ドルを節約することに成功しました。

クレディスイス

クレディ・スイスでは、Palantirのソフトウェアを同社が持つ40億人の加入者の取引記録や従業員情報データの統合分析し、取引の検知などに使用しています

マネーロンダリングの検知だけをとっても、従来と比較してコストが20分の1に削減できたうえで、検知率が2倍となっており、事業コストも大幅に下がったことで利益に貢献しており、世界の金融機関で導入が進んでいるといいます。

エアバス

欧州の大手航空機メーカーであるエアバスでは、同社が持つ大量の製造プロセスデータ、納入先の航空会社が持つ運行データを統合する管理プラットフォームを構築しました。

現在では、世界90社の航空会社が保有する6000機の機体がプラットフォームに登録されており、航空機の遅延が1割減少したほか、燃費を約1300万ドル(約14億円)削減することができました。

SOMPOホールディングス

SOMPOは2019年からPalantirの顧客となっており、保険・ヘルスケア業務でPalanitrのデータ管理・インテリジェンスソフトを利用しています。

2023年2月1日には、SOMPOとその関連会社にデータソフトウエアを提供する5000万ドル相当の5年契約を結んだとPalanitrが発表しています

なお、SOMPOホールディングスは2019年にPalantirと共同でジョイントベンチャー「Palantir Technologies Japan」を設立しています

富士通

富士通は2020年6月に、PalantirおよびPalantir Japan株式会社とパートナーシップ契約を締結し、日本市場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)分野の強化に向けて戦略的協業を行うことを発表しました

富士通はPalantirのソフトウェアを活用し、社内のDXプロジェクトにおいて数億円規模の大きな効果を上げています。

2023年12月5日には、社会課題の解決とビジネス変革の加速に向け、PalantirおよびPalantir Hapanと戦略的なグローバルパートナーシップの発展に向けた契約を締結しました

「パランティア」という社名の意味

ピーター・ティール氏らが創業したIT企業・Palantir(パランティア)

この風変わりな社名の意味や由来は何なのでしょうか?

社名の由来

社名「Palantir」は、J・R・R・トールキンの小説「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」などに登場するアイテム「パランティーア」から採られています

このアイテムは暗い水晶球で、覗き込むと遠方を見ることができたり、水晶体同士で通信を行う事が可能です

創業者のピーター・ティール氏は指輪物語の大ファンで、日本法人を設立した際に、「この石(パランティア)のようにビッグデータを通じて世界を見通し、世界をよりよく理解していきたい」という想いを込めて名付けたと語っています

一方、物語のパランティアは覗く者を堕落させるものであり、クラウドセキュリティーサービスを提供するオルカ・セキュリティの情報セキュリティー専門家でトールキンのファンだというアンディ・エリス氏は「企業名がパランティアなんてばかげてると常々思ってきた」と述べています

また、Palantirのスタッフは「Palantirian(パランティリアン)」と呼ばれています

ちなみに、名付け親であるティール氏が創業したベンチャーキャピタルであるMithril CapitalValar Venturesも、指輪物語からヒントを得て命名されています

パランティアがファラデー・フューチャーに2500万ドルを投資

(2021年8月27日)

2021年8月20日に提出された証券取引委員会(SEC)の文書によると、パランティア・テクノロジーズは、EVスタートアップのファラデー・フューチャーに2500万ドルを投資しました。

この投資は、ファラデー・フューチャーが上場する直前の7月に行われています。

また、ファラデー・フューチャーがパランティアのデータマイニング・ソフトウェアを使用する商業契約を締結したことも、パランティアが証券取引委員会に提出した書類から判明しました。

両社ともファラデー・フューチャーの支払額は明らかにしていませんが、パランティアの提出書類には契約が4年から6年続くと記されています。

参考:Palantir invested $25 million in Faraday Future(The Verge)

パランティアがウクライナと契約し同国の地雷除去をAIで支援

(2024年3月4日)

Palantir Technologies Inc.はウクライナの経済省とパートナーシップ契約を締結し、デジタルに主導された地雷除去アプローチを展開すると2024年3月4日のIRで発表しました

Palantirはこの契約に基づき、ウクライナ政府の「10年以内に潜在的に地雷が散布されている土地の80%を使用可能にする」という目標を支援します。

具体的には、以下のような支援が含まれています。

  • 人道的地雷除去作業とプロセス自動化のデジタル化
  • 土地の解放と評価、地域の優先順位付け、地雷対策におけるリスク管理のデジタル能力の強化
  • 地雷対策における意思決定を支援するためのPalantirの人工知能プラットフォーム(Palantir AIP)の活用

ウクライナは2022年に本格的なロシアの侵攻が始まって以来、世界で最も地雷の多い国となっており、領土の3分の1が地雷や不発弾によって汚染されています

今回の契約は、ウクライナのそうした現状を変える上で非常に重要です。

ウクライナのユリア・スヴィリデンコ経済相は「人道的地雷除去は、ウクライナの復興プロセスの第一段階である。」「特にPalantirのような技術企業との協力を通じて、人道的地雷除去を加速させることは、何百万人もの人々の安全に貢献し、ウクライナの復興を早めることができる。」と声明で述べています

パランティア・ニュース

Palantir(パランティア)のニュースをまとめています。

2025年

2024年

2023年

2021年

2020年

2013年

PalantirとOracleが提携し、クラウドおよびAIソリューションを顧客に提供

(2024年4月4日)

Palantir Technologiesは4月4日、世界中の政府や企業に安全なクラウドおよび人工知能(AI)ソリューションを提供するためにOracleと提携したことを発表した

この契約により、PalantirのFoundryワークロードがOracle Cloud Infrastructureに移行される

参考:Palantir

ピーター・ティールが1億7500万ドル相当のPalantir株を売却

(2024年3月16日)

ピーター・ティール氏が、2024年3月12日に700万株以上(約1億7,500万ドル相当)のPalantir Technologies Inc.の株式を売却したとBloombergが報じた

ティール氏がPalantirの株を売却するのは2021年以来である。

ティール氏はこれまで、34億ドル相当のPalantir株を保有していた。

Bloomberg Billionaires Indexによれば、ティール氏は現在もPalantirの株式を約7%所有しており、これはティール氏の105億ドルの資産の中で最大のものとなっている。

参考:Bloomberg