Palantir(パランティア)は、データ分析およびデータ統合ソフトウェアソリューションを開発する米国のソフトウェア会社です。
2003年5月にピーター・ティール氏らによって設立されました。
公式サイト:Palantir(パランティア)
関連記事:パランティアの顧客は誰?日本企業も使ってる?
Palantirとは?
正式名称 |
Palantir Technologies, Inc. |
業界 |
ビッグデータ、ソフトウェア、AI |
創業 |
2003年5月6日 |
本社 |
アメリカ合衆国コロラド州デンバー市17番通り1200番地
Tabor Center 15階 |
日本支社 |
Palantir Technologies Japan |
創業者 |
- ジョー・ロンズデール
- ネイサン・ゲッティングス
- ピーター・ティール
- スティーヴン・コーエン
|
CEO |
アレックス・カープ |
会長 |
ピーター・ティール |
従業員 |
3,848人 |
ティッカーシンボル |
PLTR(ニューヨーク証券取引所) |
Palantirは、情報の統合、視覚化、分析のための一連のソフトウェアを提供する企業です。
Palantirのソフトウェアを使用すると、政府組織内および政府組織間でアナリストが協力して大量のデータを分析できるようになります。
同社のソフトウェアプラットフォームは、特に政府、防衛、金融、医療、その他の業界の組織が大規模で複雑なデータセットを理解できるように設計されています。
同社の創業者で、会長を務めているピーター・ティール氏は、Palantirを「人間の智をコンピュータが補完するもの」と語っており、同社をIA企業(Intelligent Augmentation)と定義しています。
また、同社のCEOを務めるアレックス・カープ氏は、Palantirの取り組みについて「私達が最も注力するのは、イノベーションと雇用を同時に創出することであり、現在、クライスラーでは1500人、エアバスでは5000人のオペレーターが私達のソフトを使っています。雇用の創出なしに民主主義はなりたたないからです。」と述べています。
日本支社:Palantir Japan
Palantirには日本支社の「Palantir Technologies Japan株式会社」もあります。
Palantir Technologies Japan株式会社は、Palantir TechnologiesとSOMPOホールディングスにより共同で設立されました。
Palantir Japanは日本の各産業や政府機関におけるデジタルトランスフォーメーションに貢献しています。
著名な顧客にSOMPOホールディングスや富士通があります。
Palantirの設立
ピーター・ティールが、(ティールの母校である)スタンフォード大学でコンピュータ・サイエンスを学んでいたジョー・ロンズデールとスティーブン・コーエンという2人の若者、そしてPayPalでエンジニアを努めたネイサン・ゲッティングスと共に創業しました。
Palantirはしばしば2004年創業と記されますが、SECの提出書類によれば、2003年5月6日が正式な創業日です。
初期には、CIA(米中央情報局)が直接運営するベンチャーキャピタル「In-Q-Tel」が出資しました。
社名の由来
社名の「Palantir」はJ・R・R・トールキンの小説「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」などに登場する「遠隔から世界を見通す魔法の石」の名前から採られています。
また、Palantirのスタッフは「Palantirian(パランティリアン)」と呼ばれています。
関連記事:「パランティア」という社名の意味
Palantirの製品
Palanitrは顧客が持つあらゆるデータを統合・分析し、これまで解決できなかった問題の解決を支援するデータ分析用ソフトウェアを提供しています。
富士通はPalantirのソフトウェアを「様々なシステムに散らばった大規模なデータを統合して組織の課題を解決する、一気通貫型のソフトウェア」であると説明しています。
Palantirのソフトウェアを導入する事で、データ解析による、サイバーセキュリティ、社内不正監視、マネーロンダリング防止といったリスク対策のほか、業務効率化にも使われ、組織のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する事ができます。
導入コストは100万ドル(約1億5000万円)とも言われています。
Palantir Gotham
Palantir Gotham(パランティア・ゴッサム)は諜報機関、法執行機関、国土安全保障の顧客など、公共セクター向けの製品(ソフトウェアプラットフォーム)です。
公共データを統合、管理、保護、分析します。
Gothamを使えば、大量の「構造化」データ(スプレッドシートなど)と「非構造化」データ(画像や動画など)を1つの集中データベースにインポートすることで機能し、すべての情報を1つのワークスペースで視覚化して分析する事ができます。
価格は不明ですが、米国のFDA(食品医薬品局)に犯罪集団を検知するためにGothamを、わずか2万8000ドルで提供したことが判明しています。
旧名称はPalantir Goverment(パランティア・ガバメント)。
Ghothamの利用者
Palantir Foundry
Palantir Foundry(パランティア・ファウンドリー)は、リスク対策及び業務効率化を目指す民間企業向けのソフトウェアプラットフォームです。
社内外のデータを統合、分析、的確な経営判断と事業成功を導出します。
Foundryの利用者
富士通は同社の社会課題解決に向けたグローバルソリューションである「Fujitsu Uvance」にPalantir Foundryを後述するPalantir AIPと組み合わせて提供しています。
Foundryには他にも以下の様な顧客がいます。
- エアバス
- フィアット・クライスラー
- サノフィ
- クレディ・スイス銀行
- フェラーリのF1チーム
Palantir Apollo
Palantir Apollo(パランティア・アポロ)は、独自のソフトウェア製品のあらゆる環境での継続的な展開、構成管理及び中央ソフトウェア運用管理を可能にします。
Palantir AIP
セキュリティを確保した顧客のプライベートネットワークで、LLM(大規模言語モデル)や他のAI(人工知能)を安全に最大活用できるソフトウェア製品です。
AIPは「Artificial Intelligence Platform(人工知能プラットフォーム)」の略です。
公式サイト:AIP | Palantir
AIPの利用者
富士通は同社の社会課題解決に向けたグローバルソリューションである「Fujitsu Uvance」にPalantir AIPをPalantir Foundryと組み合わせて提供しています。
また、ウクライナの地雷除去にも活用されています。
Palantir Metropolis
Palantir Metropolis(パランティア・メトロポリス)は、ウォール街の銀行やヘッジファンド向けの定量分析に特化したソフトウェアです。
XKEYSCORE Helper
インターネット上のあらゆるデータを盗聴できるNSAのスパイツール「Xkeyscore(エックスキースコア)」で収集したデータを、Palantirのソフトウェアにカンタンに取り込めるように開発されたソフトウェアが「XKEYSCORE Helper」です。
XKEYSCORE Helperを利用すると、NSAがXkeyscoreで収集したデータを簡単にPalantirの製品にインポートし、調査できます。
Skywise
Palantirがエアバスと共同開発したオープンデータプラットフォームです。
航空機が収集した膨大なデータを、整理・分析する事で、トラブルを予防します。
エアバスはSkywiseを導入し、機材の運用や整備を効率化し、航空機地上滞留(AOG)を大幅に削減しました。
Project Maven
Project Maven(プロジェクト・メイヴン)は、アメリカ国防総省が進めている、機械学習で戦場データを分析して標的をロックオンしたり、戦術を提案したりする軍用AIプロジェクトで、Palantirは主要なシステムの設計を担っています。
TITAN
TITAN(タクティカル・インテリジェンス・ターゲッティング・アクセス・ノード)は、Palantirが米陸軍向けに開発する地上局のプロトタイプです。
この地上局は、人工知能と機械学習を使って、宇宙、空中、地上のセンサーから得られた標的情報を迅速に処理します。
TITANは、ノースロップ・グラマン、アンドゥリル・インダストリーズ、L3ハリス・テクノロジーズ、シエラネバダ、ストラテジック・テクノロジー、ワールド・ワイド・テクノロジーのシステムおよび技術、ソフトウェアを統合したものだといいます。
著名な投資家
Palantirには米国中央情報局(CIA)のベンチャーキャピタルであるIn-Q-Telが200万ドルを出資しました。
また、創業者のティール個人と彼が運営するベンチャーキャピタル・Founders Fundからも3,000万ドルを集めました。
日本のヤマトホールディングスは、傘下のCVC「Kuroneko Innovation Fund」を通して、Palantirに出資しています。
Palantirの共同創業者であるジョー・ロンズデール氏が2015年に創業したベンチャーキャピタル・8VCも、Palantirに出資しています。
株主
PalantirはNYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場しているため、誰でも株を購入する事が可能です。
Palantirの著名な株主
- ピーター・ティール(創業者。2024年3月16日現在、同社の株式の約7%を所有している)
Palantirの歴史
2003年、ピーター・ティール氏らがPayPalでクレジットカード詐欺に対処した経験から生まれたアイデアを元に創業。
2008年、Palantirが初めて顧客と契約を結ぶ。なお、初の契約者はCIA。
2009年、ロサンゼルス警察を始めとする、各地の警察と契約を結ぶ。
2010年、J.P.Morganと契約を結ぶ。契約が結ばれた最初の商業顧客となる。
2016年9月26日、米国労働省の連邦契約遵守プログラム室が、Palantirはアジア人求職者を採用プロセスにおいて差別したと訴訟を起こす。Palantirは、同社が積極的にアジア人を受け入れており、それは労働市場の平均を上回っているというデータなどを示して反論し、2017年4月に訴訟は和解された。
2017年6月、パリ航空ショー(Salon du Bourget)の会場で、エアバスと共同で開発したオープンデータプラットフォーム「Skywise」を発表する。
2018年11月14日に「OKWAVE」を運営する株式会社オウケイウェイヴと仮想通貨業界向けのセキュリティソリューションの提供に関する戦略的業務提携契約を締結する。
2019年11月18日にSOMPOホールディングスと共同でジョイントベンチャー「Palantir Technologies Japan」を設立したと発表する。
2019年12月13日、米国防総省が陸軍のデータベース統合に関する1億1081万ドルの1年契約をPalantirと結んだと発表。システムは2023年12月完成の予定。
2020年6月に富士通がPalantir TechnologiesおよびPalantir Japanとパートナーシップ契約を締結する。
2020年6月、SOMPOホールディングスが5億ドル(約500億円)をPalantirに出資する。
2020年7月6日、SEC(米国証券取引委員会)にIPO申請書類を秘密裏に提出したことを発表する。
2020年9月30日にニューヨーク証券取引所(NYSE)に直接上場する。ティッカーシンボルは「PLTR」。パランティア株は10ドルの初値を付けた後、9.50ドルに値下がりして取引を終えた。ブルームバーグ集計のデータによると、初日の取引終了時の時価総額は約157億ドル(約1兆6600億円)。
共同創業者であるピーター・ティール氏とアレックス・カープ氏が、上場後に合計4145万株を4億ドル(約423億円)以上で売却した。
時価総額は2020年12月14日時点で511億ドル(約5兆3000億円)に上っている。
2021年7月20日、新興企業や中小企業向けのイニシアチブである「Foundry for Builders」の立ち上げを発表する。
2021年7月、EVスタートアップのファラデー・フューチャーに2500万ドルを投資する。
2023年2月1日、SOMPOホールディングスとその関連会社にデータソフトウエアを提供する5000万ドル相当の5年契約を結んだと発表する。
2023年10月11日、米陸軍から2026年まで最大2億5000万ドル規模の契約を獲得したと発表する。
2023年12月5日、社会課題の解決とビジネス変革の加速に向け、富士通と戦略的なグローバルパートナーシップの発展に向けた契約を締結。
2024年1月18日、日本でデジタル大臣等を務める河野太郎氏を招き、AIとデジタル変革に関する対話を行う。
2024年3月4日、ウクライナ経済省と、今後10年間で同国の地雷除去に人工知能を活用することで合意する。
2024年3月6日、米陸軍から1億7840万ドルの契約(TITAN)を獲得する。
2024年3月12日、創業者の一人であるピーター・ティール氏が、Palantirの株を700万株以上(約1億7,500万ドル相当)を売却した。
2024年4月4日、世界中の企業や政府に安全なクラウドおよび AI ソリューションを提供する為、Oracleと提携したことを発表。
関連リンク
Palantirに関するウェブサイトです。
公式ウェブサイトおよび公式アカウント
経済情報
関連ニュース
参考