G/O MediaがQuartzを売却

2025年4月4日、メディア企業のG/O Mediaは、同社が保有するビジネスニュースメディアのQuartzをソフトウェア企業のRedbrick売却しました

RedbrickはQuartzの編集長であるダン・ハーシュホーン氏を含む2名のみを残したいと考えており、その結果約10名が職を失うことになったとPressGazetteは報じています

なお、この取引では、お買得情報を発信するメディアのThe InventoryもQuartzと併せてRedbrickに売却されました。

これにより、G/O Mediaが保有するメディア資産は、ゲームブログのKotakuと黒人に関するニュースサイトのThe Rootの2つとなりました。

QuartzはAI生成のニュース記事をひっそりと公開している

(2025年1月28日)

ビジネスニュースメディアであるQuartzは、各種メディアや公開書類の情報をひそかに集約し、「Quartz Intelligence Newsroom」という署名でAI生成記事を公開していると米TechCrunchが報じました

Quartzは2024年から、 SEC.govから取得した公開書類をAIで要約したシンプルな決算報告を掲載していました。さらに2025年に入ってからはCNN、MSN、AP通信など各種メディアの報道を集約した記事を掲載しています。

AI生成の記事はQuartzの編集スタッフが全て公開前に確認しているといいます。しかし、TechCrunchの記者であるレベッカ・ベラン氏は、Quartzに掲載されているAIが生成した記事を見て、「品質管理が欠如している」と述べています。

トランプ政権が独自ニュースサイト「White House Wire」を開設

トランプ政権がDrudge Report風の独自ニュースアグリゲーションサイト「White House Wire」を開設しました。

これは政権に好意的なニュースへのリンクを1ページにまとめたものです。

名前 White House Wire
タイプ ニュース・アグリゲーター
URL www.whitehouse.gov/wire/(短縮URL:wh.gov/wire)
X White House Wire(@whwire)
開設日 2025年4月30日
運営 The White House

参考:ホワイトハウスがゴシップサイト? 異例のアメリカ政権公式ページ : 読売新聞

InvestopediaがForbesに買収される

(2007年4月12日)

カナダを拠点とする金融教育のウェブサイト「Investopedia」が、Forbes Mediaに非公開の金額で買収されました。

1999年に設立されたInvestopediaは、投資家教育に特化した最大の金融サイトの1つです。1,500万ページインプレッションを超えるこのサイトは、かなりのトラフィックを獲得しており、株式や市場のニュース、オンライン辞書、無料のリソースとツール、さらには会計士向けの試験対策に関する豊富な情報を提供しています。

※Investopediaは現在、Dotdash Meredithのブランドとなっています。

参考:Investopedia Acquired by Forbes | Mashable

The VergeがTwitterのタイムラインのような新デザインにリニューアル

(2022年9月13日)

Vox Mediaが運営するテクノロジー系ニュースサイトのThe Vergeは、2022年9月13日に野心的な新デザインを発表しました

リニューアルされた新しいウェブサイトは、サイトタイトルのロゴからブランドカラー、文章のフォントまで全て刷新されています。

中でも特に野心的なのは、X(Twitter)のタイムラインのような記事一覧ページです。

この「Storystream news feed」と呼ばれる新デザインは、ホームページやアーカイブページ、各カテゴリーなどの記事一覧ページに採用されています。

これは、通常の記事一覧が表示されるだけでなく、The Vergeや他社サイトの記事を要約して掲載したり、X(Twitter)やYouTube、TikTokのコンテンツを直接サイトに埋め込んで表示したりと、テクノロジーに関するトップニュースを様々な形で紹介する新機能です。

この機能を活用し、The Vergeはインターネット全体から重要なテクノロジー関連ニュースをホームページに集約しています。

Xなどのタイムラインがアルゴリズムで選ばれた情報を掲載するのに対し、The VergeのStorystream news feedは、ジャーナリストが厳選した情報を編集して掲載しています。

これまで自社で記事を書いていたところを、他社のコンテンツを紹介するだけで済むため、リソースが大幅に節約でき、The Vergeの編集部は独自のレポート、より深いレビュー、さらに鋭い分析を行うことに集中できるといいます。

参考:Welcome to the new Verge – The Verge

ドラッジ・レポートの政治的傾向と信頼性

マット・ドラッジ氏が運営するニュース・アグリゲーター「ドラッジ・レポート」に掲載されるリンクは、AP通信、ロイター通信、アトランティック、Fox Newsなど、信頼性が高く、政治的な偏りが少ないニュースサイトのものが中心です。

しかし、ブライトバートやデイリー・メールなど信頼性が低いサイトへのリンクを掲載することもあります。

総合的に見て、ドラッジ・レポートが掲載しているリンク(紹介しているニュース)は、主に中道~右派に偏っています。

過去には陰謀論を紹介していたことも

また、過去にはZeroHedgeやInfowars、Gateway Punditのような、信憑性が非常に低い記事や陰謀論を謳う記事へのリンクを掲載していた事も頻繁にありました。

その中には、オバマ大統領に関する陰謀や、不法滞在の子どもは暴力犯罪者であるといった、論破された数々の陰謀論もありました。

しかし、過去2年間はファクトチェックに失敗したことはなく、信頼性が高いニュースへのリンクを掲載しています。

右派から中道右派へ

ドラッジ・レポート(および運営者のマット・ドラッジ氏)は、ドナルド・トランプ氏の熱心な支持者で、2016年の大統領選におけるトランプ当選に大きな影響を与えました

2019年にはトランプ氏自ら、Twitter(現X)にドラッジ・レポートのスクリーンショットを投稿しています。

しかし、2018年からドラッジ氏はトランプ氏と距離を置き始め、主に国境の壁や移民に関するトランプ氏の公約破りを公然と批判するようになりました。

近年、ドラッジ・レポートは右派から中道右派へと緩やかに変化しています。

この立場の変化により、熱心なトランプ支持者の中には、ドラッジ・レポートをリベラル左翼のメディアと評価する者もいます。

ダン・ボンジーノ氏は、ドラッジ氏の”裏切り”を受け、保守派とリバタリアンのコンテンツのみを掲載するニュース・アグリゲーター「Bongino Report」を開設し、「ドラッジはあなたを見捨てた。私は決して見捨てません。」と述べています

参考:Drudge Report – Bias and Credibility – Media Bias/Fact Check

米Business Insiderが総合メディアInsiderと統合

(2021年2月3日)

ドイツの大手メディア企業であるアクセル・シュプリンガー傘下のInsider Inc.が運営するビジネスメディア「Business Insider」が、同社のニュースメディア「Insider」と統合されることが発表されました

この統合に合わせ、Business Insiderという名称もInsiderにリブランドされるとのことです。

ただし、一部の企画や番組、他国版は今後も変わらず「Business Insider」の名称が使われます。日本版の名称も、今まで通りBusiness Insiderのままです。

また、Business Insiderのトップページとして使用されていたURL(businessinsider.com)は、Insiderのビジネスカテゴリーとして今後も使用されます。

(Insiderの一部としてリデザインされたbusinessinsider.com)

なお、これらの変更は一度にすべて行うのではなく、段階的に行われます。

今後のビジョン

共同創業者のヘンリー・ブロジェット氏は、「Insiderは従来の万能なメディアから離れ、さまざまなフィードと記事を配信する次世代のデジタルジャーナリズムサービスへと進化します。ビジネスおよびテクノロジーのエグゼクティブ向けには、ビジネスとテクノロジーの記事が、エンターテイメントファン向けには、エンターテイメントの記事がフィードに多数掲載されます。」と述べており、Business Insiderの名称変更とInsiderへの統合は、パーソナライズ機能を備えた”新しいInsider”へ移行するための第一歩であることがうかがえます。

※この計画は頓挫し、2年9ヶ月後の2023年11月に同社はメディアの名称を「Business Insider」に戻し、URLも全てbusinessinsider.comに変更しました(Insiderブランドはこれによって消滅しました)。また、この”原点回帰”に合わせ、報道内容もテクノロジーとビジネスという得意な分野に絞ると宣言しました。

スタンフォード・レビューとは?ピーター・ティールが創刊した学生新聞

スタンフォード・レビュー(The Stanford Review)は、スタンフォード大学の学生新聞です。

1987年に、ピーター・ティール氏とノーマン・ブック氏が創刊しました。

公式サイト:The Stanford Review

概要

スタンフォード・レビューは保守系の学生新聞です。

略して「レビュー(The Review)」と呼ばれることもあります。

同紙はAboutページで以下のように述べています

1987年に創刊されたスタンフォード・レビューは、スタンフォード大学の独立系新聞です。幅広い問題に対するさまざまな見解を提示し、キャンパス内で理性的な議論の場を作り、意見が異なる人たちの参加を促すことを目的としています。学年度中はニュースや意見記事を掲載しています。

歴史

スタンフォード・レビューは1987年に創刊されました。

他の政治活動家であるスタンフォード大学の学生が南アフリカからの投資撤退を請願し、大学のレーガン図書館収容計画に抗議していた当時、レビューは公然と保守的でした。

Bloombergの記者であるマックス・チャフキン氏によると、初期の号には「隠れマルクス主義者」であるリベラルな教授に関する一面記事、西洋文化の授業に非白人作家が含まれることに対する中傷的な論説、そして自ら選択して禁欲したストレートの若者に関する風刺的で奇妙なセックスコラム「性的逸脱者の告白」などがあったといいます。

ベイエリアでエイズ危機が猛威を振るう中、同紙は「不自然なセックス」や「同性愛嫌悪」に反対する論文を掲載しました。

ピーター・ティールとの関わり

スタンフォード・レビューは、億万長者の投資家であるピーター・ティール氏が、スタンフォードに在学していた1987年に高校時代の友人であるノーマン・ブック氏とともに創刊した学生新聞です。

ティール氏はのちに起業した会社で、スタンフォード・レビュー出身の人間を多く雇用したり、非営利団体によって運営される同紙に多額の寄付を行ったりと、卒業後も同紙と深くかかわっています。

参考

G/O MediaがLifehackerをZiff Davisに売却

2023年3月13日、LifehackerがG/O Mediaからデジタルメディア大手のZiff Davisに売却されたと、New York Timesが報じました

買収金額は非公開で、この買収によって職を失う社員はいないとの事です。米メディアのAxiosによると、社員がこの件を知ったのは、3月13日の朝との事です。

関係者の1人によると、Ziff Davisはここ数ヶ月、Mashable、PCマガジン、IGNを含む既存のメディアのポートフォリオを補完するために、同サイトの購入を求めてG/O Mediaに接触してきたといいます(Ziff Davisは、Gawker Mediaのサイトが売りに出されていたとき、その入札に興味を持ったことがあります)。

Lifehackerの編集長であるジョーダン・カルフーン氏は、3月30日に同サイト上で「Lifehackerの新しい始まりであり、改革へのチャンスでもあります」と述べています

なお、日本語版(ライフハッカー・ジャパン)への影響は特に発表されていません。

なぜフィナンシャル・タイムズは紙面がピンク色なのか?

多くの新聞は、(日本の新聞と同様)白黒で印刷されています。

しかし、イギリスの経済紙である「Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)」は紙面がサーモンピンク(薄いピンク色)になっています。

なぜFinancial Times(以下「FT」)は紙面が白ではなくサーモンピンクなのか?その理由を解説します。

ピンク色で差別化されたFT

FTの紙面がピンク色なのは、他の新聞と区別が付くようにするためのブランディングです。

同紙の公式サイトに、そのものずばりのFAQが掲載されていました(現在は非公開。リンク先はアーカイブ)。

Q. フィナンシャル・タイムズはなぜピンクなのか?

A. 1893年以来、フィナンシャル・タイムズは、その特徴的なサーモンピンクの新聞用紙を、他の日刊紙と区別するためのトレードマークとして使ってきました。

また、同紙の広報も同様の回答をしています。

フィナンシャル・タイムズを他の雑誌と区別する外見上の特徴を持たせるために、新しい見出しと特徴的な機能を導入し、紙面を少し染めることにしました。

出典:Why is the Financial Times Pink?(原文は英語)

この変更が反映されたピンク色のFTは1893年1月2日に登場しました

ちなみに、FTの創刊は1888年です。創刊当初はピンク色ではなかったんですね。

経費削減の効果も?

上記の通り、FTの紙面がピンク色なのは、ブランディングのためだと説明されますが、それだけではなく、経費削減の効果もあるとのことです。

なぜなら、ピンク色の色調を使うと、新聞紙の漂白を少なくすることができるため、より安価に紙を調達できるということです。

ウェブサイトもピンク色

FTは紙面だけでなく、ウェブサイト(FT.com)の背景色も同様の色(#FFF1E0)をしています。

背景がピンク色になっているFinancial Timesのウェブサイト
スクリーンショット:Financial Times

FT以外にもピンクの新聞が?

他社の新聞と差別化を図るために紙面をピンク色にするのは、FTが初めてではありません。

FTが紙面をピンクにするより数年前、同じく英国の新聞である「Sporting Times」がライバルとの差別化を図るために紙面をピンク色に染めたこともありました。

この試みは大成功を収め、この新聞は「The Pink ‘Un」と呼ばれました。

参考