Web 1.0の象徴的な存在だったAbout.comは、記事の更新・改善と共に、6つのバーティカルサイトに順次分割され、併せて社名をDotdash(ドットダッシュ)に変更しました。
DotdashのCEOであるニール・ヴォーゲル氏が、マスリーチのサイトよりも専門的なバーティカルサイトの方が訪問者や広告主に貢献できると考えたからです。
Dotdashはその戦略をさらに推し進め、About.comのリニューアルで生まれた6つのバーティカルサイトのうち、Verywell、The Balance、The Spruceの3つのサイトをさらに分割し、よりテーマを絞ったサイトを作りました。
分割による新サイトは、新規ドメインを使い、既存のコンテンツをリダイレクトして作成されました。
SEOへの影響は?
サイトを分割し、より扱うテーマを特化させると、サイトにどのような変化が起こるのでしょうか?
コンテンツをあるドメインから別のドメインに移動させると、サイトのトラフィック(アクセス)に短期的な混乱が生じます。
Google、Bing、Pinterest、その他のプラットフォームが、新しいドメインを適切に評価するまでには、1週間から3ヶ月ほどかかることがあります。
その間に、ウェブサイトのトラフィックは激減する可能性があります。事実、分析会社SEMrushのデータによると、The Spruceのメインサイトへのトラフィックは、2月の4600万から3月には2000万以下にまで減少しています。
しかし、プラットフォームがサイトを適切に評価すると、サイト分割(ドメイン分割)の結果が出ます。
SEMrushによると、新しいVerywell Fitは、初月の2月に150万人だった訪問者が、5月には590万人になり、Verywellのサイトを合わせたトラフィックが過去最高を更新するほど大きく増加しました。
他のサイトは、もっとゆっくりと成長しています。The Spruceは今月中に以前のトラフィックレベルに戻るペースですが、The Balanceはサイト分割前の水準から少し遅れていると、CEOのヴォーゲル氏は述べています。
ヴォーゲル氏によると、サイトの広告主はこの変化を気にしていなかったといいます。
サイトのジャンル特化はSEOの基本
サイトのコンテンツを専門化する事は、SEOにおいて非常に重要です。
一般的に、ウェブサイトはさまざまなジャンルのコンテンツを扱うより、1つのテーマに特化した専門的なサイトの方がGoogleにおいて高く評価されます。
例えば、思い付いたことをひたすら書いている雑記ブログなどは、SEOにおいて弱い傾向にあります。
そのため、複数のテーマを扱っている雑多なウェブサイトは、ドメインを分割し、テーマごとに異なるウェブサイトにした方が、コンテンツは同じでもSEOにおける評価が高くなる可能性があるという事です。
事実、About.comのサイト分割と、その後の細分化はSEOの成功例として高く評価されています。
ユーザーや広告主にとっても、自分達が関心のあるテーマだけで作られたサイトの方が便利です。
お金に関する記事を読みたいユーザーにDIYに関する記事をオススメしても意味がありません。
スマホに関する広告を出したい広告主にとって、フィットネスに関する記事の横に広告が表示されるのは広告費の無駄です。
サイトのテーマを特化する事は、ユーザーの体験、広告主のビジネス、検索エンジンからの評価(SEO)、あらゆる面において良い効果が得られるという事です。
まとめ
日本では今(2024年)でも、Yahoo! JAPANが圧倒的な強さを持っていますが、今後は日本の大手メディアの間でも、扱う情報を絞った専門的なサイトが評価されるようになるかもしれません。
サイトのテーマを絞るというのは、アフィリエイターの間では常識でしたが、ブロガーやYouTuber、メディアの間ではまだあまりその重要性が知られていないかもしれません。
皆さんも、何かメディアを作りたいと思っているのなら、About.com改めDotdashの成功事例を参考にしてみてはいかがでしょうか?