パランティアの「スカイワイズ」とは?

Palantir(パランティア)の「Skywise(スカイワイズ)」は、ヨーロッパの航空宇宙企業であるエアバスと共に開発した航空データプラットフォームです。

2017年6月20日にローンチされました。

スカイワイズは、機体の運航記録や部品交換の履歴などの整備記録、パイロットからのリポート、技術文書などを活用し、運航の信頼性や経年機の運航効率を向上。航空会社が機材の運航や整備を行う際、部品交換などの判断を手助けする情報を提供する。

出典:エアバス、ビッグデータ活用「スカイワイズ」 ピーチなど導入

エアバスはSkywiseを導入する事で、機材の運用や整備を効率化し、航空機地上滞留(AOG)を大幅に削減しました

パランティアを導入する日本の企業と行政

ピーター・ティール氏らが創業した世界的データ分析企業のPalantir(パランティア)。その製品は日本の企業や行政も導入しています。

この記事では、Palantirのソフトウェアを導入している著名な日本の企業や行政を紹介します。

日本企業

SOMPOホールディングス

SOMPOは2019年からPalantirの顧客となっており、保険・ヘルスケア業務でPalanitrのデータ管理・インテリジェンスソフトを利用しています。

2023年2月1日には、SOMPOとその関連会社にデータソフトウエアを提供する5000万ドル相当の5年契約を結んだとPalanitrが発表しています

なお、SOMPOホールディングスは2019年にPalantirと共同でジョイントベンチャー「Palantir Technologies Japan」を設立しています

富士通

富士通は2020年6月に、PalantirおよびPalantir Japan株式会社とパートナーシップ契約を締結し、日本市場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)分野の強化に向けて戦略的協業を行うことを発表しました

富士通とのパートナーシップは、日本市場に対するコミットメントを示したものであり、公的医療の危機や国を守ることを含め、あらゆる民間企業や政府機関に対して必要なソフトウェアを確実に提供していくことを意味している

アレックス・カープ(Palantir CEO)

富士通はPalantirのソフトウェアを活用し、社内のDXプロジェクトにおいて数億円規模の大きな効果を上げています。

2023年12月5日には、社会課題の解決とビジネス変革の加速に向け、PalantirおよびPalantir Japanと戦略的なグローバルパートナーシップの発展に向けた契約を締結しました

都道府県

Palantirのソフトウェアは各都道府県も導入しています。

神奈川県

神奈川県はPalantir Foundryを使い、新型コロナウイルス対策に必要な各種データの統合・分析環境を整備し、予測モデルの開発を進めました。

ちなみに、神奈川県は国内の自治体で最初のFoundryユーザーとのこと。

石川県

2024年1月の能登半島地震により、62,000人以上の避難者が複数の県に散らばりました。

パランティリアン(Palantirのエンジニア)たちは、120,000人の地域住民を表す15の断片的なデータソースを統合した「Victim 360(被災者360)」を構築し、避難者の発見と支援を可能にしました。

また、このシステムは再利用が可能であり、数か月後に同県で洪水が発生した際は、同じシステムをわずか24時間で再展開しました。

Palantirの創業者と関係者

創業者を始めとするPalantir(パランティア)の関係者を紹介します。

創業者

Palantirの創業者はピーター・ティール氏を始め複数名います。

ピーター・ティール

Palantirの共同創業者兼投資家。同社の会長を務める。

参考:逆張りの投資家ピーター・ティールとは?

アレックス・カープ

Palantirの共同創業者兼投資家。同社のCEOを務める。

参考:アレックス・カープとは?

ジョー・ロンズデール

Palantirの共同創業者。

PayPalの財務インターンとしてキャリアをスタートし、クラリウム・キャピタル、フォーメーション8、8VCといったベンチャーキャピタルで働いている

参考:ジョー・ロンズデールとは?

ネイサン・ゲッティングス

Palantirの共同創業者。PayPalでエンジニアを努めていた。

従業員

現在、Palantirで働いている人物。

シャム・サンカー

PalantirのCTO

ジェイコブ・ヘルバーグ

2023年8月にPalantirに入社し、アレックス・カープCEOの上級政策顧問を務めている

マイク・ギャラガー

Palantirの防衛部門責任者

元従業員

かつてPalantirで働いていた従業員です。

ジェイソン・ポートノイ

ジェイソン・ポートノイ氏はPayPalの34番目の従業員で、財務部門に勤務していた人物です。

PayPalを退職後は、クラリウム・キャピタルとパランティアに勤務しました。

現在はベンチャーキャピタル企業オークハウス・パートナーズのパートナーです。

ニック・ヌーン

Palantirの元幹部。同社に在籍中は中東で米軍とともに数年間働いていた。

現在は犯罪捜査のための検索エンジンを開発するPeregrine Technologies(ペレグリン・テクノロジー)を創業し、経営している。

コリン・アンダーソン

Palantirの元CFO

デイン・スタッキー

Palantirの元セキュリティ責任者で、現在はOpenAIで「安全なAGI(汎用人工知能)の開発を支援する」ために勤務している

トレイ・スティーブンス

Palantirの元従業員。現在はAnduril Industriesの会長を務めています

パランティア財団

Palantir Foundation(パランティア財団)は、学術的および技術的研究、新興技術のサポート、政策の策定を通じて国家安全保障の推進に取り組む超党派の組織です。

データ分析企業であるPalantirによって設立された財団です。

正式名称は「The Palantir Foundation for Defense Policy & International Affairs」で、日本語に訳すと「防衛政策と国際問題のためのパランティア財団」となります。

公式サイト:The Palantir Foundation for Defense Policy & International Affairs

Palanitrにはピーター・ティール氏が深く関わっているのに対し、Palantir財団は特にティール氏との直接的な関係はみられません。

メンバー

会長:アレクサンダー・C・カープ

取締役会:デビッド・A・グレイザー、ライアン・D・テイラー、ニコラス・W・ザミスカ

歴史

2023年1月、Palantirの公式サイトで財団の設立が発表

The Republic

The Republicは、パランティア財団が発行する雑誌で、テクノロジー、国家安全保障政策、国際情勢に関する論評やエッセイを掲載しています。

公式サイト:The Republic

PalantirのTITANとは?

PalantirのTITANは、米陸軍向けに開発された人工知能(AI)と機械学習(ML)を活用した次世代移動式地上局です。

TITANはTactical Intelligence Targeting Access Node(訳:戦術情報ターゲティングアクセスノード)の略です。

見た目は軍用トラックですが、内部には折り畳み式のデスク、複数のスクリーン、サーバーを備えた作業スペースが設置されています。

この地上局は、宇宙、空中、地上の各種センサーから得られたデータを迅速に処理し、攻撃目標の自動認識や正確な位置特定を行います。

TITANは最先端のテクノロジーで敵を出し抜き、打ち負かすように設計されています。

Palantir

このシステムは、複雑な戦場環境においてリアルタイムのデータ分析とターゲティングを可能にすることを目的としています。

陸軍のエド・バーカー准将はTITANについて「陸軍内の情報近代化の取り組みにおける基礎要素の1つ」と述べています

目的と機能

TITANは、軍事作戦における情報収集、分析、意思決定を迅速化するために設計されています。

衛星やドローンなど複数の情報源からデータを統合し、AIを活用して高精度なターゲティングと戦術的意思決定を支援します。これにより、戦場での状況認識を向上させ、迅速な対応を可能にします。

目標は、様々なリアルタイムの情報源から得たセンサーデータを統合することで、兵士が敵を識別し、照準を定め、射撃しやすくすることです。

陸軍のクリス・アンダーソン大佐は「TITANは、戦場全体で情報を収集、処理、そして配信する方法に画期的な技術をもたらし、マルチドメイン作戦を支援する上で決定的な優位性をもたらしてくれます。」と声明で述べました

開発

TITANの開発には、以下のような企業が参加しています

Palantirは自社を含むこれら企業のシステム、ソフトウェア、ハードウェアを統合し、TITANの開発を主導しています。

なお、TITANの開発には、これら企業以外にも提携している企業がいると考えられています。

種類

TITANのプロトタイプには以下の2種類があります

  • Basic(基本型):JLTV(汎用車両)に搭載される。直接的なダウンリンク機能を備えていない。
  • Advanced(派生型):M1083のような軍用トラックに完全な機能を搭載したモデル。宇宙配備センサーからデータを受信できる

歴史

2021年1月:Palantirが米陸軍と共同でTITANのプロトタイプ設計とデモンストレーションを行う契約を獲得。

2022年6月:PalantirがAI/MLを活用したTITANの競争的プロトタイプ開発に選ばれる。

2024年3月6日:Palantirが米陸軍から2年間1億7840万ドルの契約を受注したと発表。TITANのプロトタイプを5つの先進型と5つの基本型の合計10台を開発・納入する。

2025年3月7日、TITANの最初の2台を米陸軍に納入したと発表した

2025年5月:PalantirがTITANのソフトウェアが予定通り予算内で提供され、戦闘力の向上に寄与していると報告。

動画

TITANを映画の予告風に紹介する公式プロモーション映像です。

Palantirは「In theaters now.」という言葉と共にこの動画をXやYouTubeにポストしています。

「In theaters now.」は「現在劇場公開中」という意味ですが、「theater」という単語には「戦域」という意味もあります。

AIの軍事利用に厳しい目線が向けられる中で、映画の予告編のように軍事への貢献をアピールできるのはすごいですね。

動画のラストに「To Defend the west」(西側を守るために)と記されており、その意思が端的に示されています。

参考

Palantirが高卒限定インターンシップを展開し高等教育に懸念を表明

ピーター・ティール氏が創業したデータ分析企業のPalantirが、トップクラスの成績を収めた高卒限定のインターンシップを展開すると発表しました

このインターンシップは「メリトクラシー・フェローシップ」と呼ばれています。メリトクラシーとは実力主義・能力主義といった意味です。

Palantirは米国の大学教育に対して否定的な立場を取っており、この取り組みは単なる採用活動ではなく、大学教育に対する強い批判の意が込められています。

同社は採用ページで以下のように述べています。

多くのアメリカの大学では、不透明な入学基準が実力主義と優秀さを覆しています。その結果、優秀な学生が主観的で浅薄な基準に基づいて教育を受ける機会を奪われています。実力主義が欠如した大学は、過激主義と混沌の温床となっています。

Palantirは、大学入学制度の欠陥に対応するため、メリトクラシー・フェローシップ制度を創設しました。実力と学業成績のみに基づいて選考され、面接に招待されます。選考された応募者にはPalantirでのインターンシップの機会が提供されます。

メリトクラシー・フェローシップを無事に修了すると、Palantir在籍中に優秀な成績を収めたフェローには、Palantirでのフルタイム雇用のための面接を受ける機会が与えられます。

借金は不要。教化も不要。Palantirの学位を取得しましょう。

出典:Palantir Technologies – Meritocracy Fellowship

Palantirが米国の大学、特に大学入試制度に否定的な姿勢を取っている事が分かりますね。

同社のCEOであるアレックス・カープ氏も、「学校や大学で世界の仕組みについて学んだことはすべて、知的に間違っている」と高等教育の価値について強い疑念を表明しています。

また、同社の会長であるピーター・ティール氏はかねてより大学不要論を主張し、22歳以下の才能ある若者に大学進学ではなく起業を推奨する「Thiel Fellowship(ティール・フェローシップ)」を展開しています。

同社の取り組みは、DEI施策(入学試験における黒人への加点や女子学生限定の支援など)による実力主義の欠如や不公平な環境を批判するトランプ政権の意向にも合致していますね。

参考:Palantir Launches Anti-College Internship for High School Grads(Business Insider)

Palantirには日本法人がある!

ピーター・ティール氏らが起業したデータ分析企業「Palantir(パランティア)」には、日本支社の「Palantir Technologies Japan株式会社」が存在します。

Palantir Technologies Japan株式会社は、Palantir TechnologiesとSOMPOホールディングスが共同で設立しました

正式名称 Palantir Technologies Japan株式会社
フリガナ パランティアテクノロジーズジャパン
創業 2019年10月15日事業開始:同年12月1日)
所在地 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目12−18 ジ アイスバーグ 6階
法人番号 5010401148754
代表者 楢﨑浩一
公式サイト Palantir (パランティア)

Palantir Japanは日本の各産業や政府機関におけるデジタルトランスフォーメーションに貢献しています

著名な顧客にSOMPOホールディングスや富士通があります。

関連記事

Palantir Japanの歴史

2019年11月、SOMPOホールディングスと共同出資(ジョイントベンチャー)で、日本にPalantir Technologies Japan(本社:東京都中央区)を設立。資本金は1億ドルで、出資比率はSOMPOホールディングスが50%、Palantir Technologiesが50%である。

2020年

6月、SOMPOホールディングスが5億ドル(約500億円)をPalantirに出資する

6月に富士通がPalantir TechnologiesおよびPalantir Japanとパートナーシップ契約を締結する

6月10日、富士通がPalantirに5000万米ドル(約53億円)を出資したと発表した

オフィス「The Iceberg」

Palantir Japanが2021年11月9日から入居しているオフィスは、「The Iceberg」という非常に特徴的な建物です。

明治通りに面したファサード(前面の外観)は、クリスタルをイメージした青とメタリックの中間膜を用いた全面ガラス張りが特徴です。

設計を担当したCreative Designers Internationalのベンジャミン・ウォーナー代表は、「彫刻のようにつくり上げたクリスタルな建築を目指した」と語っています

WeWorkのレンタルオフィス

同ビルは2018年8月1日より、全階がWeWorkのレンタルオフィス「WeWork アイスバーグ」となっています。

1階と2階は共有スペースで、3階から7階はプライベートオフィスです(Palantirは6階に入居)。

ちなみに、7階にはBuzzFeed Japan株式会社、4階にはShopify Japan株式会社が入居しており、本社として登記しています。

1階のカフェ「forucafe」はWeWorkの会員でない人も利用する事が可能です。WeWorkの利用者であれば、ドリンクはすべて50%割引で購入することが出来ます

AI特需でパランティアの株価が年初来332%上がる

(2024年12月20日)

ビッグデータ解析を手掛けるPalantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)は、データ分析AIアプリケーションの需要が追い風となり、株価が年初来で332%上がったとBloombergが報じました

AIサービスから大きな収益を上げることができたソフトウェア企業はほとんどないが、パランティア・テクノロジーズ社は傑出している。同社のデータ分析AI製品への需要が成長を活性化させ、売上高は前年の17%から2024年には26%拡大するペースにある。

株価は2024年に332%上昇し、時価総額を年初の370億ドルから1700億ドル近くに押し上げた。来週にはナスダック100の仲間入りをする。

ウォール街では今年の株価上昇を受け、この銘柄に慎重な見方もあるが、ウェドブッシュのアナリストは、AIによるさらなる成長への期待から、2025年はさらなる上昇をもたらすと予想している。

ブルームバーグがまとめたデータによると、予想利益に対する株価の倍率は150倍を超えており、パランティアはS&P500の中でベンタスに次いで2番目に割高な銘柄である。ブルームバーグが追跡しているアナリスト22人のうち、パランティアを「買い」と評価しているのは3人だけだ。

出典:What’s Next for Five of 2024’s Most Dramatic Tech Stock Stories

時価総額が約1700億ドル(約26兆7200億円)とはすごいですね。

筆者は以前、Palantirの株を持っていましたが、かなり早い段階で利確してしまいました。めっちゃ悔しいです(´・ω・`)

とはいえ、Bloombergが報じているように、Palantirは明らかに割高なので、また株価が下がって購入できるチャンスがくると信じています。

パランティアの製品

Palantir(パランティア)の製品や関与したプロジェクトを紹介します。

Palantirの製品

Palantirの製品であるソフトウェアプラットフォームを紹介します。

4つの主力製品

Palantirは様々なソフトウェア製品を提供しています。中でも代表的なのは以下のソフトウェアプラットフォームです。

  • AIP
  • Foundry(ファウンドリー)
  • Gotham(ゴッサム)
  • Apollo(アポロ)

上記4つのソフトウェアプラットフォームはPalantirの基本的な製品です。

詳細はこちら:Palantirの主力製品とは?4つのソフトウェアプラットフォームを紹介

Palantir Metropolis

Palantir Metropolis(パランティア・メトロポリス)は、ウォール街の銀行やヘッジファンド向けの定量分析に特化したソフトウェアです。

Palantir FedStart

Palantir FedStartは、連邦政府にソフトウェアを導入することを検討している適格企業やスタートアップ企業向けのSaaS サービスです。

競合製品を提供する企業に米防衛テックのSecond Front(セカンドフロント)などがあります。

公式サイト:Palantir FedStart

特殊事例

以下はPalantirが政府機関などに向けて特別に開発・協力した製品・プロジェクトです。

MetaConstellation

PalantirのMetaConstellationはAIを活用して数百のセンサー群から得られる情報を統合し、迅速な意思決定を支援するソリューションです。

アメリカ北方軍が実証実験を行ったほか、ウクライナでは実戦投入されています

MetaConstellation

XKEYSCORE Helper

インターネット上のあらゆるデータを盗聴できるNSAのスパイツール「Xkeyscore(エックスキースコア)」で収集したデータを、Palantirのソフトウェアにカンタンに取り込めるように開発されたソフトウェアが「XKEYSCORE Helper」です。

XKEYSCORE Helperを利用すると、NSAがXkeyscoreで収集したデータを簡単にPalantirの製品にインポートし、調査できます。

Skywise

Palantirがエアバスと共同開発したオープンデータプラットフォームです。

航空機が収集した膨大なデータを、整理・分析する事で、トラブルを予防します。

関連記事:パランティアの「スカイワイズ」とは?

Project Maven

Project Maven(プロジェクト・メイヴン)は、アメリカ国防総省が進めている、機械学習で戦場データを分析して標的をロックオンしたり、戦術を提案したりする軍用AIプロジェクトで、Palantirは主要なシステムの設計を担っています

TITAN

PalantirのTITAN(戦術情報ターゲティングアクセスノード)は、米陸軍向けのAIと機械学習を活用した初の移動式地上局です。

衛星やドローンからのデータを人工知能と機械学習を使ってリアルタイムで分析し、戦場でのターゲティングや意思決定を迅速化します。

詳細:PalantirのTITANとは?

Victim 360 / 被災者360

Palantirが日本の石川県と共同で開発したプロダクトです。

日本では「被災者360」と呼ばれており、英名は「Victim 360」です。

2024年1月の能登半島地震により、62,000人以上の避難者が複数の県に散らばりました。Palantirのエンジニアたちは、120,000人の地域住民を表す15の断片的なデータソースを統合した「Victim 360」を構築し、避難者の発見と支援を可能にしました。数か月後に洪水が発生した際、同じシステムがわずか24時間で再展開されました。

出典:Palantir / X

パランティアの顧客は誰?日本企業も使ってる?

Palantir(パランティア)の顧客は膨大なデータを持つ政府や大企業です。

TechCrunchによると、CIA、DHS、FBI、NSA、海兵隊、米陸軍、米空軍などと取引があるといいます。

また、ニューヨーク市警、バンク・オブ・アメリカ、IBM、ロッキード・マーティン、ブーズ・アレン・ハミルトンなども顧客として知られています

同社のソフトウェア プラットフォームを導入する顧客には、CBSブロードキャスティング、ゼネラル・ミルズ社、アラマーク・サービス社が含まれる

もちろん、日本にも導入している企業や行政があります。

関連記事:パランティアを導入する日本の企業と行政

著名な顧客

Palantirの著名な顧客には以下のような機関・企業があります。

CIA

2005年から2008年までの3年間はCIAが唯一の顧客でした

また、CIAが運営するベンチャーキャピタルIn-Q-Tel」は、Palantirに対して2度、計200万ドル(約3億円)の資金提供と技術協力を行いました

米軍

Palantirはアメリカ軍と積極的にビジネスをしています。

噂ではアメリカ同時多発テロ事件の首謀者であるビン・ラディンの暗殺にも貢献していると言われています。

かつてアメリカがパキスタンでビン・ラディン容疑者を殺害した時にも、このパランティア社のシステムが使われたという。以前、カープ氏はパランティア社の存在について「私たちは世界の出来事において、公の場で言うことができないほど大きな重要な決定的な役割を果たしている」と述べている。

出典:「こっそり歴史を変えた」~ウクライナ善戦の裏でアメリカ民間企業“魔法の力”【報道1930】 | TBS NEWS DIG

CDC

CDC(米国の疾病予防管理センター)に向けて、新型コロナウイルスの感染拡大状況や、医療機関の対処状況の把握をするアプリの提供を行いました。

Palantirは、医療機関から受け取るデータを匿名化した上で、Palantir Foundryと呼ばれるプラットフォームで分析し、使用可能な病床数や人工呼吸器の数の把握に利用されています。

なお、データはAmazon.comのクラウドであるAWSに貯蔵されているといいます。

また、感染拡大の予測モデルの提供など、コロナウィルスのパンデミックに対して、Palantirはビッグデータの活用で対抗しています

ちなみに、Palantirは詳細不明のハードウェア及びソフトウェアの更新費用として、67万5000ドルをCDCから受け取っています

NHS

英国のNHS(国民保健サービス)においてもPalantirのソフトウェアが利用されており、病院のキャパシティや人工呼吸器の利用状況の把握などに役立てられています

イギリス国防省

2022年12月21日に、3年間で7500万ポンド(当時のレートで約120億円)かけてPalantirのシステムをイギリス軍に導入する契約を発表しました

ウクライナ軍

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、Palantirはウクライナの地雷除去や軍事に協力しています

ロサンゼルス警察

ロサンゼルス警察は、2011年からOperation LASERと呼ばれるプログラムに取り組み、過去の犯罪を分析して犯罪の発生を予測する予測的取り締まりの展開を試みています

このプログラムには、Palantirのソフトウェアが活用されたとされています。

J.P. Morgan

2010年に契約した民間初の顧客です。

Palantirのソフトウェアを使い、サイバー犯罪や住宅ローンなどの問題を通じて、数億ドルを節約することに成功しました。

クレディスイス

クレディ・スイスでは、Palantirのソフトウェアを同社が持つ40億人の加入者の取引記録や従業員情報データの統合分析し、取引の検知などに使用しています

マネーロンダリングの検知だけをとっても、従来と比較してコストが20分の1に削減できたうえで、検知率が2倍となっており、事業コストも大幅に下がったことで利益に貢献しており、世界の金融機関で導入が進んでいるといいます。

エアバス

欧州の大手航空機メーカーであるエアバスでは、同社が持つ大量の製造プロセスデータ、納入先の航空会社が持つ運行データを統合する管理プラットフォーム「スカイワイズ(Skywise)」を構築しました。

現在では、世界90社の航空会社が保有する6000機の機体がプラットフォームに登録されており、航空機の遅延が1割減少したほか、燃費を約1300万ドル(約14億円)削減することができました。