イーロン・マスクのX Holdingsに出資している株主とは?

(2024年8月22日)

Twitter/Xを所有するイーロン・マスク氏のX Holdingsに出資しているの株主についてワシントン・ポストが報じています

公開された情報によれば、X Holdingsに出資しているのは、a16z8VC、Binance、アル=ワリード・ビン・タラール王子、ジャック・ドーシー氏、ラリー・エリソン氏などがいるとのこと。

参考:a16z, Jack Dorsey, Sean Combs, and Binance are among the investors in Elon Musk’s X.(The Verge)

Xの評価額が440億ドルに回復

(2025年3月19日)

投資家らは、ソーシャルメディア「X」を運営するX社の評価額を440億ドルと評価しています。

これは、2022年にイーロン・マスク氏が同社(当時はTwitter Inc.)を買収した際と同額です。

2024年9月には、同社の価値が100億ドル未満と判断されていましたが、急激な上昇となっています。

BloombergはXがマスク氏の参加を得て「ほぼ10億ドルの新たな株式資金」を調達したと報道しています。

参考:X bounces back to $44 billion.(The Verge)

イーロン・マスクのxAIがイーロン・マスクのXを約5兆円で買収

(2025年3月28日)

イーロン・マスク氏が率いるAIスタートアップのxAIが、同じくマスク氏が所有するSNSのX(旧Twitter)を330億ドル(約4兆9500億円)で株式交換を通じて買収しました。

マスク氏は、今回の買収について、「xAIの高度なAI機能と専門知識をXの巨大な影響力と融合させる」ものだとXで述べています。

元々、xAIが開発したAIチャットボットである「Grok」がSNSの「X」に搭載されたり、XのデータをGrokの学習ソースとりて利用したりなど、xAIとXは密接に関わってきましたが、今回の買収により両社の連携は一段と強化される事になるでしょう。

なお、この買収により、xAIの価値は800億ドル(約12兆円)、Xの価値は負債120億ドルを含め450億ドル(約6兆7500億円)になるとマスク氏はXで明かしています。

今後、XとxAIのすべての株式は、新会社「xAI Holdings Corp.」の株式と交換される予定です

この新会社は2025年3月27日にネバダ州で登記されており、マスク氏が社長を務めています。

xAI Holdings Corp.の企業価値は負債を除き1000億ドル(約15兆円)を超える規模となる見通しであるとBloombergは報じています

マスク氏は2022年に440億ドル(約6兆6000億円)でX(当時の名称はTwitter)を買収していました。

筆者の感想

以前からxAIの評価額より、Xの評価額の方が圧倒的に低かったので、私は冗談で「XってAI(Grok)が搭載されているSNSと言うより、SNSがおまけで付いてるAI(Grok)って感じだよね」「XよりもX上の一機能(Grok)の方が価値が上だ…」と思っていましたが、今回の買収はまさにそんな状況を示すものですね。

しかし、Xのスーパーアプリ化と経営が上手くいかない中で、XをGrokの学習ソース&普及のインフラとして活用し、xAIを育てて、最終的にxAIでXを買収するというのは本当にすごいですね。

転んでもただでは起きない根性と経営センスは、さすがイーロン・マスクって感じです。

今回の統合により、社内のリソースが統合・洗練され、xAIはますます飛躍していきそうですね。

イーロン・マスク氏としても、これまでは会社をまたいで指示しなければならなかった事が、これからは隣の部署に指示するだけで済むわけですから、大きな無駄の削減でしょう。

イーロン・マスク

イーロン・マスク氏は、SpaceX、Tesla、Neuralink、The Boring CompanyのCEO兼共同創設者です。

X(旧Twitter)を運営するX Corp.およびX Holdings Corp.のオーナーでもあります。

SpaceXの主任設計者として、イーロンは地球周回軌道、そして最終的には他の惑星へのミッション用のロケットと宇宙船の開発を監督しています。SpaceXのファルコン1は、2008年に軌道に到達した最初の民間開発された液体燃料ロケットでした。2017年、SpaceXはファルコン9ロケットとドラゴン宇宙船の両方を初めて再飛行させ、さらなる歴史を作りました。再利用可能なロケットの開発を先導することにより、SpaceXは人類を複数の惑星で暮らす種族にするという長期目標を追求しています。

テスラでは、イーロンは製品の設計、エンジニアリング、製造を監督しています。テスラロードスターは2008年にデビューし、その後2012年にモデルS、2015年にモデルX SUV、2017年に量販電気自動車のモデル3が続きました。テスラは、パワーウォール、パワーパック、ソーラールーフといった独自のエネルギー製品を生産しており、世界初の垂直統合型持続可能エネルギー企業となっています。テスラの使命は、世界の持続可能エネルギーへの移行を加速することです。

Neuralinkは、人間の脳をコンピューターに接続するための超高帯域幅のブレインマシンインターフェースを開発しています。

The Boring Companyは、高速で手頃なトンネル技術と全電気式の公共交通機関を組み合わせ、魂を圧迫する都市の混雑を緩和し、高速長距離移動を可能にしています。

イーロンは以前、世界有数のインターネット決済システムである PayPal と、最初のインターネット地図および道順サービスであるZip2を共同設立し、売却しました。

かつてはInstagramのアカウント(@elonmusk)を保有していたが、2018年8月ごろから消滅している

Twitterの名前が「X」になった。一番の改悪だ。

イーロン・マスク氏はTwitterを買収し、スーパーアプリ「X」に変更しようと改革を進めています。

その過程では、良い事もありましたが、一方で改悪も多くありました。

マスク氏による改悪の中でも最悪なのは、やはり「Twitter」という名前を「X」に変更したことだと思います。

長年親しまれ、認知されてきた名前を変更するのは大変なことです。

特に、「X」はアダルト(性的)なものを示す、スマホやパソコンなどにおいて「閉じる」「消す」を表す「×(バツ印)」と区別が付きづらい、検索する際に他の分野の「X」が引っかかるなど、ブランドとして確立させるには困難な要素を多く含んでいます。

Xはリブランディングの翌月に、広告代理店に新しいブランドガイドラインを送り、Xのロゴをどのように使うべきか、「ツイート」や「リツイート」の代わりにどのような用語を使うべきか(現在は「ポスト」や「リポスト」)などを説明しているようです。

しかし、ユーザーの言動をみるに、そうした努力は上手くいっていないのかもしれません。

変更直後はもちろんの事、変更から1年経っても、ユーザーはXのことをTwitterと呼んでいます

もちろん、ビジネス的にも確立させたブランドを捨て去ることは大きなデメリットがあります。

Bloombergは、この変更により最大で2兆8,000億円ものブランド価値が損なわれたと報じています。また、Twitter自身も、かつて青い鳥のロゴを「最も認知度の高い資産」と述べていました

短縮URLサービスを提供する「Rebrandly」のCEOである、カーラ・ブルク氏は「1つ確かなことは、人々はTwitterの鳥という友好的でオープンで共有されたコミュニケーションのシンボルが大好きだったということです。”X”ではそうした特徴が伝わるか分かりません。」と述べています

この記事を書いているちょうど前日(2025年3月10日)に、Xで障害が発生しましたが、その際も「Twitterに接続できない」などの声が多く上がっていました

まだまだ「X」のことを「Twitter」と呼ぶ方は多いようです。

イーロン・マスクのTwitter買収に資金提供した銀行団の債権売却が大幅に進展

(2025年2月13日)

ウォール街の銀行は、イーロン・マスク氏のTwitter(現X)買収に関連する30億ドルの融資売却に、大きな進展を見せているとFinancial Timesが報じています

この動きは、モルガン・スタンレーを中心とする銀行団が、2022年の買収に関連する55億ドル相当の負債売却に成功してから、わずか1週間後に行われることになります。市場の急落により買い手が逃げ出していた状況から、大きな転換を迎えています。

今週に入り、売却の注文は50億ドルを超え、銀行側の自信も深まっています。当初予定していた債務の割引を取りやめることができる見通しとなり、モルガン・スタンレーは9.5%の固定金利を付けた有担保ローンについて、割引なしでの価格設定を目指しているとのことです。

この成功は、マスク氏の440億ドル規模の買収に約130億ドルを提供した7つの金融機関にとって、大きな勝利となります。参加した金融機関には、モルガン・スタンレーの他、バンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、みずほフィナンシャルグループ、MUFG、ソシエテ・ジェネラル、BNPパリバが含まれています。

2022年当時、ウォール街の金融機関は、Twitter(現X)の敵対的買収に参加しようと熾烈な競争を展開していました。しかし、FRBの積極的な利上げやマスク氏自身による買収撤回の動きなど、市場の混乱により、貸し手となる予定だった投資家たちは警戒的な姿勢を示すようになりました。

その結果、取引完了後、モルガン・スタンレーと他の6行は自己資本での対応を迫られ、他の融資業務にも影響が及び、評価損の計上による損失を被ることとなりました。

しかし、状況は好転します。昨年のトランプ前大統領の当選とマスク氏との関係強化が、投資家の関心を呼び戻すきっかけとなりました。さらに、マスク氏の人工知能スタートアップであるxAIへのXの出資が、投資家の期待を一層高めることとなりました。

今月の売却と、1月にダイアミター・キャピタル・パートナーズやダルサナ・キャピタル・パートナーズなどの資産運用会社へ売却された10億ドルの債券により、銀行団が提供した融資の大半が清算される見込みです。関係者によると、銀行団は約30億ドルのジュニア無担保ブリッジローンを保有することになるとのことです。

先に売却された65億ドルのタームローンは、取引開始以来大幅に価値が上昇しており、ウォール街のブローカーは1ドル99セントから100セントという高値で取引を提示しています。この好調な値付けが、今週の有担保ローン価格設定に向けた7社の貸し手グループの意欲を高めているようです。

なお、この件についてモルガン・スタンレーはコメントを控えており、X社からの回答は得られていないとFinancial Timesは伝えています

Wikipediaは編集者を「脅威の増加」から守ろうとしている。

ウィキメディア財団は、新たな対応を迫られています。

創設者のジミー・ウェールズ氏が最近述べたところによれば、「イーロン・マスク氏らからの批判の声の高まり」に対処する必要があるとのことです。

財団はすでに、ウィキペディアの編集者の身元を保護するための対策を進めています。

404 Mediaの報道によると、その対策の1つが「一時的なアカウントプログラム」です。これは、ログインしていない編集者に対して、IPアドレスの代わりに一時的なユーザー名を提供する仕組みです。

これまでこうしたツールは、主に権威主義国家のユーザーを保護する目的で導入されてきました。

しかし今後は、米国においてウィキペディアが不利な政治情勢に直面していることから、より幅広く活用されることになるだろうとThe Vergeは報じています

xAIがGrokのiPhoneアプリを米国でリリース

2025年2月6日追記:日本でもGrokのアプリの提供が開始されました。Android版も準備中です

(2025年1月10日)

イーロン・マスク氏が率いるxAIは、1月9日(現地時間)に同社のAIチャットボット「Grok」のiOSアプリを米国でリリースしました。これまで、GrokはSNSのX上でのみ利用可能でした。

米国だけでなく、オーストラリアやインドなど複数の国で提供を開始していますが、日本ではまだ提供されていません

xAIがベータ版と呼ぶこのチャットボットのスタンドアロンアプリは、リアルタイムの情報を処理し、質問に答え、画像を生成するなど、Xに組み込まれているものと同じ機能を実行することができます。

xAIは12月にいくつかの国でGrokのiOSアプリをテストしていました。Android版がいつリリースされるかについては何も発表されていません。

Grokは当初、XでX Premiumに加入しているユーザーのみが利用可能でしたが、先月から全てのユーザーがX上で利用できるようになりました。これにより、Grokは、OpenAIのChatGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGemini、MicrosoftのCopilotなど、他の無料で使用できるチャットボットと同等になりました。

ウェブサイトも準備中

xAIはGrok専用のウェブサイト「Grok.com」も準備中です。

現在、アクセスすると「Coming Soon」のメッセージが表示されています。

参考:X launches Grok’s iPhone app in the US – The Verge

xAIがシリーズC資金調達ラウンドで60億ドルを調達

(2024年12月23日)

イーロン・マスク氏が率いるAI企業「xAI」は、12月23日にシリーズCラウンドで60億ドル(約9420億円)調達したと発表しました

この調達でxAIの評価額は400億ドル(約6兆2900億円)から500億ドル(約7兆8600億円)と見積もられています

今回のシリーズCラウンドには、Andreessen HorowitzやBlackRock、Sequoia Capital、Fidelity Management & Research Company、Kingdom Holdings、Lightspeed、MGX、Morgan Stanley、OIA、QIA、Sequoia Capital、Valor Equity Partners、Vy Capitalなどの資産運用会社に加え、戦略的投資家であるNVIDIAとAMDも参加しました。

xAIは今回の発表で、AIコンピューターColossusのサイズを2倍の20万個のNvidia Hopper GPUに拡大し、Grok、Aurora、その他の取り組みを強化するとも述べています。

参考:Series C funding round

xAIがもうすぐGrokの独自アプリを提供開始するという報道

(2024年11月28日)

イーロン・マスク氏が率いるxAIは、同社のチャットボット型AI「Grok」のアプリ版を12月中にリリースする予定であるとウォール・ストリート・ジャーナルが報じました

リリースされるアプリは、OpenAIのChatGPTに似たものになり、ユーザーはスマホ等からxAIのGrokにアクセスできるようになるとのことです。

現在、xAIのGrokは、X(Twitter)に搭載されており、同サービスのウェブサイトやアプリから利用する事ができます(ただし有料のX Premiumに課金しているユーザーのみです)。

xAIのライバルであるOpenAI(ChatGPT)やGoogle(Gemini)、Anthropic(Claude)は、すでにAIチャットボットのアプリ版を提供しており、xAIの動きはこれら企業に追従する動きです。

イーロン・マスク氏は、Xをあらゆる機能を備えた”なんでもアプリ”にする事を目標としており、GrokをX上で提供しているのも、”なんでもアプリ”のビジョンを追求しての事だと思いましたが、Xから独立したスタンドアロンアプリ(Grokの利用に特化したアプリ)を作るという事は、全ての機能を一つのアプリ(すなわちX)に収める計画ではないのかもしれません。

既にXより価値があるxAI

余談ですが、xAIの企業価値は既にX(元Twitter)の企業価値(約94億ドル)を圧倒的に上回っており、次の資金調達で500億ドル(約7兆5800億円)に達する可能性があるとのこと。

参考:xAI could soon have its own app – The Verge