(2017年6月12日)
WordPress.comを運営するウェブ開発企業・Automatticは、サンフランシスコに本社オフィスを構えていました。
将来性のある新興企業がひしめき合うサウス・オブ・マーケット(SOMA)地区にある1万4千平方フィートの倉庫を改造して作られたそのオフィスは、高い天井、図書館、特注の納戸を備えた美しいオフィスでした。
しかし、2017年にAutomatticはこのオフィスの契約を更新せず、退去し完全リモートワークに移行することを選択しました。
なぜAutomatticはオフィスから退去したのか?
Automatticがオフィスを退去し、完全リモートワークに移行した理由は「(オフィスが)思ったより活用されていないから」とのこと。
事実、Automatticの従業員は550人以上いますが、本社オフィスを利用する従業員は1日5人程度だったとウォール・ストリート・ジャーナルは報じています。
なぜこのような事態になったのか?いくつかの理由がありますが、直接的な理由は”サンフランシスコで働く従業員が増えなかった”ことにあると、Automatticの従業員であるトニ・シュナイダー氏はブログに記しています。
氏のブログによれば、2011年後半の時点でAutomatticの従業員は約100人がおり、そのうち15人がサンフランシスコのベイエリアに住んでいたといいます。
その後、オフィスの移転に迫られた際、Automatticは今後5年間で500人以上に成長する予定だったため、従業員の15%(100人中15人)がサンフランシスコのオフィスを使うなら、オフィスは75〜100人程度のスペースが必要だと判断し豪華なオフィスに引っ越したという訳です。
しかし、その後Automatticは確かに500人を超える会社に成長しましたが、サンフランシスコのベイエリアで働く従業員は思ったより増えず、20~30人程度にとどまりました。その結果、人数に対して大きく豪華なオフィスを持て余す事になったと言う訳です。
平たく言えば、「オフィスを構える際の予想(予定)が外れた」という事ですね。
また、サンフランシスコのオフィスはイベントやコワーキングスペースとしても利用できますが、サンフランシスコの物価が高い事から、よそからサンフランシスコに集まるより、別の場所でイベントやミーティングを行った方が安いというのも、オフィスを手放すことにした理由だそうです。
なお、同社は、南アフリカのケープタウンとメイン州ポートランド郊外に同様のオフィスを構えていますが、利用するか否かは自由となっており、他の場所で働きたい場合は会社が月に250ドルの支給を行っているとのことです。
自前のオフィスこそあるが、完全にリモートワークで働くことができるという事ですね。