イーロン・マスクによるTwitterの買収が完了

(2022年10月29日)

起業家のイーロン・マスク氏によるTwitterの買収が10月27日に完了しました

これにあわせマスク氏はTwitterで「the bird is freed(訳:その鳥は解放された)」とツイートし、プロフィールを「Cheif Twit(Twitterのトップ)」に変更しました

Twitterの買収総額は440億ドル(約6兆4000億円)ですが、多くのアナリストはこの価格について、ユーザー拡大に苦労するTwitterに対して過大だと評しています

もっとも、マスク氏もそれを自覚しており、あくまでマスク氏はTwitterに”とてつもない可能性”があると考えて買収したようです

当初マスク氏は「従業員の75%を解雇する」と宣言していましたが、買収に先立ちTwitter本社を訪問した際に「75%を解雇するつもりはない」と前言を撤回しています。

一方、上層部に関してはTwitterのスパムアカウント数について誤解を招く情報を提供したとして、直ちに解雇しました

同社の株式は、11月8日から上場廃止となります(11月8日に予定通り上場廃止となりました)。

今後、マスク氏はTwitterをスーパーアプリ「X」に変える考えです。

ネットメディアバブル崩壊。業界はこれからどこへ向かうのか?

BuzzFeed、Vice、Gawker、Drudge Reportといったデジタルメディアは、トラフィック戦争の犠牲者だが、メディアの状況を揺るがすことに成功したと英国のメディアであるThe Guardianが論じています。

The digital media bubble has burst. Where does the industry go from here?

※記事中の為替レートは当時のニュースに記載された額を参考にしています。

米国の著名なジャーナリストであり、New York TimesやBuzzFeedで働いた経験のあるベン・スミス氏は、著書「Traffic」の巻末で、BuzzFeed Newsの失敗は「ユートピア的イデオロギー、一種の魔術的思考」の結果だと書いている。

10年間、ベンチャーキャピタルからの暖かい資金を浴びながら、価格設定や流通を完全にコントロールすることができなかったデジタルベースのビジネスにとって、これほど真実味のある言葉はないだろう。

2021年に国際報道部門でピューリッツァー賞を受賞したインターネット・ニュース・ビジネスのパイオニア、BuzzFeed Newsは、同社株式が上場以来90%も暴落したことを受け、4月20日にニュースルームを閉鎖すると発表した

BuzzFeedのジョナ・ペレッティ最高経営責任者(CEO)は、「もはや資金を提供し続けることはできない」と述べた。

しかし、これはデジタルメディア部門を襲った悪いニュースの一つに過ぎない。

2017年に時価総額が57億ドル(約6,300億円)に達していた、この時代のもうひとつのパイオニアであるVice Newsは、身売りを目指してニュース事業を再編成し、人員を削減すると2023年5月15日に発表しました

その後、Vice Mediaは投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループがソロス・ファンド・マネジメントやモンローキャピタルなどの投資家グループを率いて3.5億ドルで買収することが決まりました

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、会社を清算から救うことになるこの買収は、プライベート・エクイティ会社TPGグループ、シックス・ストリート・パートナーズ、メディア王ジェームズ・マードックなどの支援者を含む、Viceのほぼすべての株主を一掃することになると報じている。

トラフィック戦争による犠牲者は他にもいます。

ドラッジ・レポートに続く、ブログから出版への革命を2000年代初頭に起こしたと言えるGawkerは、短期間の再出発の後、今年初めに再び閉鎖しました。

また、Gawkerが2007年にスタートしたメディアで、伝統的な女性誌に対して、より現代の女性に寄り添ったメディアとして人気を集めたJezebel(イザベル)は、2023年11月に閉鎖され、スタッフ全員を解雇しました。その後、同月末にPaster Magazineが同サイトを買収しました

そして、ディズニーの新たなレイオフが、ネイト・シルバーのデータ主導の政治とジャーナリズムのブランド、FiveThirtyEightを襲った。シルバーはFiveThirtyEightの従業員に対し、”近いうちに “このサイトを去ることになるだろうと語った。

Insiderもチームの10%をレイオフし、さらに名前をInsiderからBusiness Insiderに戻すと発表しました

反乱的なニュース・ビジネスの破滅の種が最初に撒かれた場所をたどるのは、やりきれない作業だ。ほとんどのサイトは、バイラルな力によって推進される多くの訪問者に依存しており、その訪問者はデータを収集し、デジタル広告主に販売することができた。

しかし、この広告モデルには深い欠陥があり、特に、トラフィックの主要な配信ネットワークであるインターネット大手のGoogleとFacebookが、いつでもコード(アルゴリズム)を変更することができ、インターネットニュースの顧客を別の場所に送ることができた場合、ウェブサイトへの訪問者の流れが途絶える可能性があった。

コロンビア大学デジタル・ジャーナリズム・センターのエミリー・ベル所長は「ソーシャル・プラットフォームは、一般的に言って、ビジネスを構築できる場所ではない」と言う。

BuzzFeedのように、ソーシャル・プラットフォーム上で広告主の支援を受けてビジネスを構築していた企業は、すぐにそれを失っていることに気づいた。「彼らは、あなたのトラフィックがどこから来て、いくら支払っているのかが正確にわかるので、あなたのお金とトラフィックを奪おうとしているのです」とベルは指摘する。

しかし、ある瞬間、BuzzFeedは大打撃を受けた。マットレスのように見える25人の有名人という、ユーモラスで無関係なリスト記事のパイオニアから、画期的な大調査とピューリッツァー賞の受賞に至ったのだ。

また、たとえ物議を醸すような状況であっても、ニュースサイクルを支配することができた。悪名高いロシアの選挙干渉「スティール文書」を公表したのは、スミスのBuzzFeedだった。

Viceでは、ストーリーは明らかに異なり、より奇妙で、ジェットコースターのようだった。

BuzzFeed同様、プライベート・エクイティ企業から投資を受けたが、A+Eネットワークスや21世紀フォックスからも投資を受けた。

BuzzFeedとViceがそれぞれの意味でその時代を象徴していたのだとしたら、彼らもまた戻ることはないだろう。彼らが追い求めた夢は、他の何百ものインターネット・ベースの企業と同様、超低金利と投機的投資の機能であった。

新興デジタルメディアがもたらしたもの

BuzzFeed NewsやVice Mediaの反乱は、メディアの展望を揺るがすという目的を達成したかもしれない。

そうすることで、より焦点が絞られ、多くの場合有料ウォールの背後にある、独創的で小規模なニュース事業が形成される機会が生まれた。

その中で最も成功しているのは、Politico、Axios、Puck、Airmail、Talking Points Memoなどである。

しかし、必ずしもそうではない。

ViceやBuzzFeedが残した最大の遺産は、既存のメディアブランドに近代化を迫ったことだとベルは言う。

BBC、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど、かつては堅苦しかったブランドが、デジタルニュースとそれに伴うデジタル収入を完全に受け入れた。多くの場合、デジタル・ライバルの出身者の多くを採用することで、そうしてきた。

そして、伝統的なメディアはデジタル化しないだろうという考えは、全く正しくないことが判明した。

TumblrをWordPress.comを運営するAutomatticが買収

Verizon Mediaは傘下のTumblrを、WordPress.com等を運営するAutomattic社に売却すると2019年8月12日に発表しました

Tumblrの買収について、AutomatticのCEOであるマット・マレンウェッグ氏は「Tumblrはウェブを代表するブランドの1つです」「Tumblrは、新しいアイデアや文化、経験を共有するのに不可欠な場であり、何百万人もの人々が共通の関心事を中心にコミュニティを作り、それを形成するのに役立っています。」「(Tumblrを)当社のラインナップに加えられることをうれしく思います」と述べています

売却の条件や売値など詳細は明らかにされていませんが、Wall Street Journalは「当初の価格に比べれば捨て値」、Axiosは「2000万ドル(約21億円)をかなり下回る」と報じています

Tumblrは6年前の2013年に(Verizonに買収される前の)米Yahooが11億ドル(約1160億円)で買収しました

報道が事実なら、わずか6年でTumblrの価値は50分の1以下に下がった事になります

Automatticはインターネット最大の無料ブログサービスであるWordPress.comを始め、インターネット上での表現とコミュニティ作りに敬意を払っており、ジャーナリストであるBrian Heater氏は「少なくとも表面上は、(YahooやVerizonより)Automatticの方がTumblrとの相性良さそうだ」とTechCrunchの記事で述べています

事実、Automatticは買収から3年後の2022年に、Tumblrのアダルトコンテンツ規制を緩和するなど、再び表現の自由を尊重するプラットフォームに変えようと努力しています。

WordPress.comの運営企業がオフィスから退去し完全リモートワークに移行

(2017年6月12日)

WordPress.comを運営するウェブ開発企業・Automatticは、サンフランシスコに本社オフィスを構えていました。

将来性のある新興企業がひしめき合うサウス・オブ・マーケット(SOMA)地区にある1万4千平方フィートの倉庫を改造して作られたそのオフィスは、高い天井、図書館、特注の納戸を備えた美しいオフィスでした。

しかし、2017年にAutomatticはこのオフィスの契約を更新せず、退去し完全リモートワークに移行することを選択しました。

なぜAutomatticはオフィスから退去したのか?

Automatticがオフィスを退去し、完全リモートワークに移行した理由は「(オフィスが)思ったより活用されていないから」とのこと。

事実、Automatticの従業員は550人以上いますが、本社オフィスを利用する従業員は1日5人程度だったとウォール・ストリート・ジャーナルは報じています。

なぜこのような事態になったのか?いくつかの理由がありますが、直接的な理由は”サンフランシスコで働く従業員が増えなかった”ことにあると、Automatticの従業員であるトニ・シュナイダー氏はブログに記しています

氏のブログによれば、2011年後半の時点でAutomatticの従業員は約100人がおり、そのうち15人がサンフランシスコのベイエリアに住んでいたといいます。

その後、オフィスの移転に迫られた際、Automatticは今後5年間で500人以上に成長する予定だったため、従業員の15%(100人中15人)がサンフランシスコのオフィスを使うなら、オフィスは75〜100人程度のスペースが必要だと判断し豪華なオフィスに引っ越したという訳です。

しかし、その後Automatticは確かに500人を超える会社に成長しましたが、サンフランシスコのベイエリアで働く従業員は思ったより増えず、20~30人程度にとどまりました。その結果、人数に対して大きく豪華なオフィスを持て余す事になったと言う訳です。

平たく言えば、「オフィスを構える際の予想(予定)が外れた」という事ですね。

また、サンフランシスコのオフィスはイベントやコワーキングスペースとしても利用できますが、サンフランシスコの物価が高い事から、よそからサンフランシスコに集まるより、別の場所でイベントやミーティングを行った方が安いというのも、オフィスを手放すことにした理由だそうです。

なお、同社は、南アフリカのケープタウンとメイン州ポートランド郊外に同様のオフィスを構えていますが、利用するか否かは自由となっており、他の場所で働きたい場合は会社が月に250ドルの支給を行っているとのことです。

自前のオフィスこそあるが、完全にリモートワークで働くことができるという事ですね。

参考

Uberでは若い女性ドライバーが最も多くチップを貰える

米国(アメリカ合衆国)では、Uberの女性ドライバーは若ければ若いほど、利用者(特に男性の利用者)から多くチップを貰える傾向にある事が明らかになっています。

Uberのドライバーがチップを貰える条件とは?

Uberは2017年からアプリでドライバー(運転手)にチップを渡せるようになりました。日本でもチップを支払う事ができます。

しかし、チップを支払う利用者はあまりおらず、ドライバーがチップを貰える機会は多くはありません。

NBERが2019年に公開した調査分析結果によると、Uberのトリップ(移動)の中で、チップが貰えるトリップは15%以上となっています。

また、利用者の内、60%近くの人がチップを払わず、常にチップを払う人はわずか1%です。

しかし、チップを貰える可能性が高くなる条件も存在します。具体的には、Uberの利用が以下の条件に当てはまる場合、チップが貰える可能性と金額が大幅に高まります。

  • 評価の高いドライバー
  • 長旅
  • 裕福な利用者
  • リピーター

若い女性は同年代の男性よりも6%以上多くチップを貰う

チップを貰えるか否か、その可能性には、性別と年齢も大きな影響を与えています。

Uberでチーフエコノミストを務め、Uberにチップ機能を追加させた当の本人である経済学者のジョン・リスト氏の調査によると、65歳以上の女性ドライバーを除いて、男性ドライバーよりも女性ドライバーの方がチップを多く受け取っていることがわかりました。

移動の距離や時間などの要因を考慮しても、男性よりも女性の方がチップを貰える可能性が高く、特に若い女性でその傾向が強くなっています。

65歳以上の女性ドライバーは、65歳以上の男性ドライバーよりも平均して2%多く受け取っているのに対し、21歳から25歳の女性は同年代の男性よりも6%以上多くチップを受け取っています。

男性は女性に、特に若い女性にチップを支払う傾向にあるということです。

一方、女性利用者も(男性ドライバーより)女性ドライバーに対してチップを支払う事が多いですが、その差はそれほど大きくはありません(女性は一般的にチップを渡すことが少ない)。

以下が、Uberのデータを元にビジネスニュースメディアのQuartzが作成したチップと性別・年齢の関係を示すグラフです。

Uberのチップ

(縦軸がパーセンテージ、横軸が年齢。赤紫=男性から女性ドライバー、水色=男性から男性ドライバー、ピンク=女性から女性ドライバー、紺=女性から男性ドライバー)

ドライバーが高齢になるほど、”チップ格差”は小さくなりますが、それでも傾向が逆転することはありません。

ちなみに、日本のUber Eatsでも、個人の話ですが似たようなエピソードがありました。

画面に並ぶチップの金額が見たことのない高さなのです!

「チップは1回で1000円くらいくれる人も結構いますね。この前、配達員女子会をしたときに聞いたら『5000円もらえた!』という子もいて、さすがにビックリしました」

46歳のおっさんと20代女性、当然といえば当然かもしれませんが、これを聞いて驚きました。

私も店で料理が出来上がるのに時間がかかるとき、中年の配達員同士で情報交換をすることがあります。中年同士の会話では「この前チップで500円くれた人がいてさ」というと「そんなにもらえたんですか!!」となるのが一般的。100円以上もらえるだけでも自慢の対象だ。しかし、女性配達員の皆さんはケタが違うようです。

出典:マジか! 女性配達員と男性配達員のチップ格差に涙 | アラフォーUber Eats配達員 激走日記

まとめ

「Uberではドライバーが若い女性で、利用者が男性であれば、よりチップを貰える可能性が高くなる」という話でした。

チップは性別や年齢、人種によって貰える可能性や額が変わるので、しばしば不公平な文化として語られますが、それはUberでもやはり同じなんですね(´・ω・`)

参考