アメリカではチップの支払いが絶対必要!相場や支払い方を解説

海外ではお店やサービスを利用した際に、チップの支払いをする必要がある国は珍しくありません。

中でもアメリカはチップが従業員の重要な収入源であり、支払いは必ず必要です。

この記事では、アメリカにおけるチップの習慣や相場について解説します。

アメリカのチップ文化

アメリカは他の欧米諸国と比べても、特にチップの文化・習慣が根付いています。

アメリカでは、サービス業に従事する労働者の給料は、最初からチップを貰う事を前提とした金額に抑えられています。いわば歩合制という事です。

その為、アメリカにおけるチップは”感謝の気持ち”ではなく、労働者にとって重要な収入源であり、チップを貰えない事は死活問題に繋がります。なので、チップの支払いは(事実上)義務であり、チップを支払わない事は、料金の一部を勝手に支払わない事と同様の扱いを受ける可能性があります。

「サービスがあまりにも悪い」など、特別な事情が無い限り、相場通りのチップを支払いましょう。

また、ニューヨークでホテルコンサルタントとして働く方は、「サービスに不満があるのなら、チップの額を減らすのではなく、マネージャー(上司)に苦情を入れるべきだという。

「チップはよいサービスをしてくれたことへの褒章だから、期待に見合ったサービスが受けられなかった場合には、少なくて良い。」という、誤った常識を持っている日本人が多くいる。ここアメリカでは、チップは労働賃金の一部であり、15~20%は彼等が受け取る当然の権利だ。だから、個人の主観で金額を変えてはいけない。チップを受け取る部署で働く従業員は、その分、給料が低くなっている。彼等の家計を支える主たる収入はチップなのだ。もしサービスに不満があり、チップを払いたくないのなら、チップの額を減らすのではなく、マネージャーに苦情をあげるべきだ。

出典:チップの誤った常識|私が見たアメリカのホテル|ホテリスタ

チップの文化や習慣は国やお店によって様々です。

しかし、少なくともアメリカにおけるチップは”感謝の気持ち”ではなく、労働者にとって重要な収入源であり、支払いは必須だという事が分かります。

なので、よほどの理由が無い限り必ずチップを支払うようにしましょう。

アメリカにおけるチップの相場

  • ホテル:ベル係は荷物の個数やサイズに応じて、1個につき2~3ドル。ベッドメイキングは枕元などに1~2ドル。
  • レストラン:食事代の15~20%
  • カウンターバー:一杯1ドル
  • ファーストフード:不要
  • タクシー:運賃の15~20%程度
  • スパ:10~20ドル
  • ツアーガイド:料金の10~20%(貸切の場合)

チップは現金やクレジットカードで支払います。

レストランでは料金と一緒にまとめて支払える場合もありますが、ホテルなどではサービスを受ける都度、スタッフに現金を渡す事になります。

そのため、細かい支払いが必要になるので、チップ用に1ドル札を多く持っておくのがオススメです。

また、ここでは一般的な相場を記しましたが、お店のグレード(一般的なレストランなのか高級レストランなのか)やサービスの内容などにもよるので、旅行プランを立てる際などは、自分が行くお店や利用するサービスと一緒に、チップをいくら払えばよいのか調べておくと良いでしょう。

参考

ヨーロッパはチップがいらない?必要な国や相場を解説

ヨーロッパの多くの国々では、飲食店やホテルなどの料金にあらかじめサービス料が含まれているため、チップは必ずしも義務と言う訳ではありません。

ですが、良いサービスを受けた時や、何か特別なサービスを頼んだ際にはお礼としてチップを渡すと良いでしょう。

ヨーロッパ各国のチップ事情

ヨーロッパの多くの国では、チップは必ずしも支払う必要はありません。

しかし、多くの観光地でチップの文化がありますし、同じヨーロッパの国でもチップの相場や文化は様々です。また、トイレを借りたり、利用をする際に50セントほど必要な場合もあります。

ここでは、日本人にも馴染みのあるヨーロッパ各国のチップ事情を紹介します。

イギリス

イギリスでは、その店がすでにサービス料を徴収していない限り、10~15%のチップを渡すのが一般的です。タクシーも運賃の10~15%程度を支払います。

また、ホテルでは荷物を運んでもらったり、ルームサービスを頼んだ際にお礼として1回につき1ポンド程度のチップを渡します。

アイルランドの小さなパブでは、バーテンダーに自分の勘定で飲み物を注いでもらうこともチップの一種として認められています。

参考:イギリスのチップ文化について。払い方や相場について解説

フランス

フランスでは、15%のチップを請求書に含めるのが一般的です。

パリでも、飲み物の場合は数コイン、レストランでの食事の場合は2~5ユーロ(合計金額による)程で、高級レストランでは食事代の5~10%程度で、特に良いサービスには十分報いることができます。

タクシー、美術館、劇場、ホテルなど、その他の場面ではチップの習慣はさまざまです。大きな荷物を運んでもらった際などに支払うと良いでしょう。

ドイツ

ドイツでは、カフェでは1ユーロ単位に切り上げ、レストランでは5~10%のチップを渡すのが一般的ですが、ホテルではベルボーイやルームサービスを頼んだ時に1ユーロ程度を支払うと良いでしょう。

タクシーは運賃の10%程度です。

スペイン

スペインではあまりチップの文化・習慣が根付いていません。請求書の合計金額を切り上げてチップを渡すことは可能ですが、そのような習慣は稀です。

スペイン旅行の専門家が行った調査によると、サービスに満足した場合、高級レストランの請求書だけがチップの対象になるそうです。

関連記事:チップが必要ない国の一覧

イタリア

ホテルではポーターやルームサービスに対して、1回につき1~5ユーロ程度。

飲食店では合計料金に含まれている場合がほとんどですが、支払う場合は店の格に応じて食事代の7~15%程度が目安です。

タクシーは運賃の10%程度です。

オランダ

オランダも他のヨーロッパ諸国と同様、基本的にはチップは必要ありませんが、レストランやタクシーでは10~15%ほど支払うと良いです。ホテルでスタッフに荷物を運んでもらった際やルームサービスを頼んだ際も、お礼としてチップ(1~2ユーロ)を渡すと良いでしょう。

また、とても良いサービスを受けたと感じた際に、請求書を1ユーロ単位に切り上げたり、小銭を余分に(大きなお札の場合は少し多めに)置いていったりすることはよくあるそうです。

参考:オランダのチップ事情は?相場はいくらなのか?

北欧諸国

物価の高い北欧でも、チップの習慣は国によって異なります。

デンマークではチップは請求書に含まれていますが、旅行者は請求書を切り上げるか、10%を上限にチップを渡すことで感謝の気持ちを表すことができます。アイスランドも同様です。

スウェーデンでは、切り上げや5〜10%のチップを渡すことはそれほど珍しくありません。

一方、ノルウェーでは、さまざまな場面でチップを渡します。

まとめ

チップを支払う文化はヨーロッパの国々にもあります。

アメリカの様にチップが労働者にとって重要な給料の一部となっている国と比べると、チップの支払いはそこまで必須という訳ではありません。しかし、良いサービスを受けた時(もしくは良いサービスを受けるために)お礼や気持ちとしてチップを支払うケースは珍しくないようです。

日本の様に「ほぼ全ての場でチップは一切不要」という事はありません。

とはいえ、チップの必要性は国や状況によって様々です。実際に旅行や仕事などでヨーロッパへ行く際は、事前に行先や使うサービスとチップの必要性を調べておくと良いでしょう。

また、トラブル時に対応してもらった際はお礼としてチップを渡すなど、知識だけに囚われない柔軟さがあると良いでしょう。

参考

オランダのチップ事情は?相場はいくらなのか?

オランダでは基本的にチップを支払う必要はありません。アメリカ等の様なチップ文化や習慣は特に無いためです。

しかし、チップを渡す習慣が全くないわけでは無く、良いサービスや特別な対応を受けた際にお礼や感謝の気持ちとしてチップを渡す事はあります。

「チップは不要」というより、「特にチップを払わなくても問題ないが、サービスが良かったら感謝やお礼としてチップを払うことはある」という感じですね。

関連記事:ヨーロッパはチップがいらない?必要な国や相場を解説

オランダでチップを支払う場合の相場

オランダでチップを支払う場合、いくら払えばよいのでしょうか?以下がチップの相場です。

  • タクシー:料金の10~15%程度。
  • レストラン:料金の5~15%程度。ただし、レストランの格にもよるので注意。また、サービス料が最初から含まれている場合は基本的に不要。
  • ホテル:ルームサービスや荷物を運んでもらった時など、スタッフに何かをお願いした際に1~2ユーロ。

また、端数が出ないように切り上げて渡す事もあります。

例えば、会計が48.50ユーロだったら、50ユーロを渡すという形です。日本円で例えると、4,980円を支払う際に5,000円を渡して、お釣りをそのまま相手に渡すイメージです。

ちなみに、クレジットカードでチップを支払う場合は、伝票の合計額にチップ相当額を自分で書き足して支払うことが出来る場合もあります。

まとめ

オランダでは特にチップは必要ありません。

サービス業に就く方々は、日本と同様にチップ無しで生きていける給料を得ているので、チップが貰えなくても特に困る事はありません(注:アメリカ等ではチップを受け取る事が前提の給与になっている)。

しかし、何か良いサービスを受けたら、感謝の気持ちとしてチップを払うと良いでしょう。言うまでもなく、チップは必ず喜ばれます。

参考

イギリスのチップ文化について。払い方や相場について解説

イギリスにおけるチップの相場や払い方について解説します。

イギリスのチップ文化

イギリスにはチップ文化がありますが、他のヨーロッパ諸国と同様、アメリカほど強制はされておらず、支払わないケース(支払わなくてもマナー違反でないケース)もあります。

また、イギリスをはじめ、ヨーロッパでは最初から料金に「サービス料」が含まれており、チップを渡す必要が無いこともあります。

チップの払い方

チップは現金で払うというイメージを持っている方が多いと思いますが、レストランやタクシー等では合計金額にチップの代金を足す場合があるので、クレジットカードで支払うことができる場合もあります。

もちろん、ホテルスタッフに荷物を運んでもらった場合など、現金で支払う場合もあるので、小銭は用意しておきましょう。

チップの相場

イギリスではチップはいくら払えば良いのか?チップの相場は以下の通りです。

ホテル

イギリスのホテルでは、枕銭(ピローチップ)は基本的に不要です。

ベル係やルームサービスに対しては、1回につき1ポンド(約150円)程度渡すといいでしょう。

また、高級ホテルではポーターと呼ばれる荷物運び専門のスタッフがいます。荷物を運んでもらったら、荷物の数x1ポンドを渡すのが相場です。

タクシー

運賃の10~15%程度を渡したり、端数を繰り上げて払ったり(≒お釣りを渡したり)します。

レストラン

レストランでは食事代の10~15%程度がチップになります。

ただし、最初にサービス料が含まれている場合は支払う必要はありません。

また、ファストフード店もチップは不要です。

まとめ

イギリスのチップについて解説しましたが、チップは文化です。

そのため、地域や時代によって相場や支払いの必要性が変わることもあります。実際にイギリスに住んでいるマイケル・ブースという方のチップに対するコラムが朝日新聞に載っていたので紹介します。

イギリスはより複雑だ。特に大都市では最近、チップを求められるようになってきた。金額はほんの気持ち程度(1ポンドくらいか)から食事代の20%まで様々で、たいていはお勘定にすでに含まれている。そうと知らずにチップを2度払ってしまう外国人も多い。1度は会計のときに、もう1度はテーブルにいくらか残す形で。

私の暮らすスカンディナビア地域では、ホールスタッフはごくまっとうな待遇を受けているのでチップは全く期待されていない。だからこそ私はここに住んでいるのだ。

コロナ禍によって、チップを払う圧力が強まる地域があるかもしれない。ロックダウン下で破産を免れた店も、厳しい経営状況に直面している。賃金が極限まで切り詰められるようになり、どの店の従業員にとってもチップの存在はこれまで以上に重要になるだろう。

再び私たちが旅に出られるようになったら、こうした状況を思い出そう。その時ばかりは、私も喜んでチップを払うつもりだ。

出典:日本に来ると実感する、チップを計算しなくていいありがたさ:朝日新聞GLOBE+

チップに関しては旅行直前に自分の行き先に合わせて状況を調べるのはもちろん、現地で予想外の出来事があっても対応する柔軟さも必要かもしれませんね。

参考